GHGを出さない

ESG経営を推進する当社グループは、再生可能エネルギーをテーマに次世代に向けた新たな価値創出を目指し、2019年4月にグリーンビジネスグループを創設しました。
水素・アンモニア等の次世代燃料、洋上風力発電事業、LNG燃料供給事業、CO2輸送やカーボンクレジット等さまざまな取り組みを強化しています。
2022年4月にはグリーンビジネスの浸透を図るため、新ブランド「NYK GREEN EARTH」を策定。脱炭素社会の実現に向けた活動を通じ、企業と社会の持続的な発展・成長とともに、新たなエネルギーバリューチェーンの構築を目指しています。

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次世代燃料の取り組み

当社グループは、日本政府が宣言した2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指す目標に向けて、水素やアンモニアといった次世代の燃料普及に向けて取り組みを進めています。

アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の開発

アンモニア燃料タグボード(A-Tug)
アンモニア燃料アンモニア輸送船(AFAGC)

当社は、2021年10月にグリーンイノベーション基金事業の一環である国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)助成事業の公募採択を受け、共同開発パートナーとともに「アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の開発」を開始しました。
燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しないアンモニアを燃料とすることによって、航海中の温室効果ガス(Greenhouse Gas、以下GHG) 排出量を従来よりも大幅に削減することが可能となります。当社は船舶のゼロ・エミッション化実現を目標に取り組みを進めます。

  • グリーンイノベーション基金事業
    「2050年カーボンニュートラル」に向けてエネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションといった現行の取り組みを大幅に加速するため、NEDOに2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などに対して、最長10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援する基金制度。グリーン成長戦略において実行計画を策定している重点14分野を中心に支援が行われる。

次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(AHEAD)

水素社会の早期実現に向けて、当社は2017年から次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(英語名:Advanced Hydrogen Energy Chain Association for Technology Development、以下AHEAD)に参画しています。
AHEADは2020年にNEDO助成事業の公募採択を受け、MCH(メチルシクロヘキサン)を用いて世界初となる水素国際サプライチェーンの実証を完了しました。
また、2021年からはENEOS(株)が国内で実施するMCH実証事業へ、ブルネイで生産したMCHを2022年まで供給しました。

パートナーシップ

新たな分野への挑戦には「技術力」x「協創」の組み合わせが必要であり、「協創」はイノベーションを推進する原動力です。当社はさらなる「協創」を生み出すべく、以下のネットワークに参画しています。
今後も世界トップクラスの国内外のパートナーとの協創により、海運業界のみならず社会全体の脱炭素化に取り組んでいきます。

パートナーとの協創事例

  • クリーン燃料アンモニア協会
  • 水素評議会(Hydrogen Council)
  • The Maersk Mc-Kinney Moller Center for Zero Carbon Shipping
  • Getting to Zero Coalition
  • 水素バリューチェーン推進協議会

洋上風力発電の取り組み

日本近海における洋上風力発電市場は急速な拡大が見込まれています。当社グループは、海運事業を通じて長年培った技術力、日本における規制や法制度に関する知見に加え、オフショア事業の実績、全国に展開しているグループ会社ネットワークを最大限に生かし、洋上風力発電のバリューチェーン全体に積極的に関与していく事を検討しています。

SEP船 (Self-Elevating Platform:自己昇降式作業船)

SEP船のイメージ

当社はオランダのVan Oord Offshore Wind BVと共同で、洋上風力発電設備の設置作業に使用する自航式SEP船(Self-Elevating Platform:自己昇降式作業船)の保有および日本国内での運航の実現に向けて検討を進めています。船籍対応など日本特有の条件を満たしながら、大型化が進む風車の据え付けに対応可能なSEP船の日本国内マーケット投入を目指します。

CTV(Crew Transfer Vessel)

NOS社保有CTVのイメージ

当社はスウェーデンのNorthern Offshore Group AB(以下、NOG社)と洋上風力発電向けの作業員輸送船(Crew Transfer Vessel、以下CTV)事業における協業を発表し、NOG社のオリジナル船型をベースとした国内仕様CTVの建造を目指しています。さらに、今後の洋上風力発電の全国的な展開に向けて、全国各地でCTVの運航体制を構築していきます。また同社との協業の一環として、2022年よりNorthern Offshore Services AS(NOG社の100%子会社であるCTV運航会社、以下NOS社)が欧州で運航する新造船“Energizer”を当社が買船・保有し、NOS社との人材交流も進めています。

当社保有CTV “RERA AS”

また当社はスペインに本社を置くSiemens GamesaとCTV1隻に関する定期傭船契約を締結し、北海道の石狩湾新港にて、当社グループが国内で初めて保有・管理を行うCTV"RERA AS"が2023年7月に運航開始しました。

洋上風力発電設備と陸上を結び、作業員を安全に送り届ける作業員輸送船、通称「CTV」(Crew Transfer Vessel)。その運航に、北海道・石狩湾新港で日本郵船グループが挑む様子をご覧いただけます。

海事コンサルティング

操船シミュレーターのイメージ

(株)日本海洋科学は、当社グループの海事コンサルティング会社として港湾や洋上風車などの海域環境調査を実施しています。洋上風力発電プロジェクトでは、立地環境の調査および風車の規模・仕様に係る事業者が検討する際の支援、操船シミュレーターを活用した風車設置工事中・完成後の航行安全対策、風車運用中の潜水点検、作業船乗組員への操船訓練、海域監視システムなど、お客さまのニーズに応じて総合的なコンサルティングサービスを提供しています。

風車輸送ビジネス

モジュール船のイメージ

当社グループは重量物運搬船社として100年を超える歴史を有しており、重量物船(Heavy Lifter)とモジュール船(Deck carrier)を運航する唯一の邦船社です。
海外の洋上風力発電プロジェクトにも参入しており、台湾向けにナセル(発電機)を重量物船で、ジャケット(基礎部)をモジュール船で輸送した実績があります。
2021年9月には、800トン吊りの重量物船も船隊に加わり、日本国内の洋上風力発電案件にも積極的に取り組んでいます。

その他の取り組み

当社グループは、海運だけでなく社会全体の脱炭素化に向けたエネルギーバリューチェーン全体での再生可能エネルギー関連事業へ積極的に参画しています。

つばめBHB(株)への出資

当社は2020年6月に、東京工業大学発のベンチャー企業であるつばめBHB(株)へ出資しました。
同社は東京工業大学の細野秀雄栄誉教授が発明したエレクトライド触媒を用い、従来の技術より低温・低圧でアンモニアを生産する技術の実用化を目指しており、当社は革新的な技術の商業化をサポートし、環境負荷の低減に貢献します。

脱炭素に向けbp社とStrategic Partnershipを締結

当社は国際的統合エネルギー企業であるbp(イギリス)と脱炭素をさらに推進するための戦略的パートナーシップに関する覚書を締結しました。従来の船舶用燃料から液化天然ガス(LNG)、バイオ燃料、メタノールなどの代替燃料への移行を協力して促進し、アンモニアや水素などの将来的なゼロ・エミッションの船舶用燃料を開発していきます。また、二酸化炭素(CO2)の海上輸送やその他のソリューションを提供することによって、重工業や発電で使用されるアンモニアと水素のサプライチェーンへの参画も模索していきます。