コーポレートガバナンスに対する取り組み

日本郵船の経営組織

2022年6月22日現在のコーポレートガバナンス体制図

ガバナンス強化のこれまでの歩み

対応項目の凡例

  1. 執行役員制度(旧 経営委員制度)を導入
  2. 経営の透明性の向上
  3. コーポレートガバナンスコード対応
年代 対応項目 内容
2002年 経営委員制度を導入し、業務執行体制を強化
2006年 経営の透明性を高めるため、アドバイザリー・ボードを設置
2008年 アドバイザリー・ボードを廃止し、社外取締役2名を選任
取締役の経営責任を明確にし、経営環境の変化に即応できる体制を構築するため、取締役の任期を2年から1年に短縮
2010年 社外役員4名全員を、国内の金融商品取引所が定める独立役員として届出
2015年

日本版コーポレートガバナンス・コード策定、当社は以下を整備

  • コーポレートガバナンス・ガイドライン
  • 取締役会の規模・バランス・多様性に関する考え方
  • 役員等選任指名方針・手続
  • 社外役員候補者の推薦に関する独立性基準
  • 役員等報酬決定方針・手続
2016年 社外取締役を1名増員し3名に、また取締役の総員数は1名減員し12名に(社内取締役を2名減員)
当社取締役及び経営委員(社外取締役及び監査役を除く)に対し、業績連動型株式報酬を導入
指名諮問委員会及び報酬諮問委員会を設置
社外取締役や監査役を含む全役員に取締役会の実効性に係る自己評価の記名式アンケートを実施
2017年 取締役の総員数を1名減員し11名に(社内取締役を1名減員)
筆頭社外取締役を設置(岡本取締役)
取締役会への報告事項の整理等行うとともに、議論のさらなる活性化を図る施策を実行
2018年 公正性の確保、さらなるガバナンス強化向上のため、取締役会の実効性に係る自己評価の集計、分析等に外部機関を起用
取締役の総員数を2名減員し9名に(社内取締役を2名減員)
2019年 取締役の総員数を1名減員8名に(社内取締役を1名減員)
ガバナンス強化委員会を設置
2020年 機動的な意思決定のためのプロセスの見直し、および経営会議の新設
執行体制の明確化のため、経営委員を執行役員に名称変更および、執行役員会の位置付けの変更
2021年 ESG経営の着実な遂行を目的として、ESG経営推進委員会を新設
2022年 業績連動型金銭報酬制度の導入
役員報酬の決定に関する方針を報酬制度の改定に伴い変更
業績連動型株式報酬制度の一部改訂

機関設計

当社は監査役会設置会社を選択しています。取締役会は独立性の高い社外取締役3名を含む8名で、監査役会は独立性の高い社外監査役2名を含む4名で構成しています。

取締役会と業務執行の体制

当社は、激変する事業環境への迅速かつ的確な対応のため、経営の透明性と効率性とともに、取締役会による意思決定と業務執行の監督の一層の充実を図り、実効性の高いガバナンスの構築に努めています。取締役会の多様性と専門性を確保し議論を深化させることを念願に、当社は8名の取締役を選任し、うち3名は当社の独立性基準に則った社外取締役としています。取締役会において議案の実質的な議論と審議を図れるよう、独立社外取締役や社外監査役に対する議案の事前説明を行うとともに、役員懇談会において重要なテーマに関する議論を行う事で実効性を確保しています。
当社は、取締役会決議事項を除く業務執行を取締役兼務と国内外グループ会社の役員を含む29名(2022年6月末現在)の執行役員に委譲し、取締役会の決議と監督の下に業務を執行しています。また、業務執行取締役と本部長である執行役員等で構成される経営会議において、取締役会付事項を含む重要な業務執行に関して審議を尽くしています。

  • 取締役、監査役、本部長で構成し、中長期的な経営課題に関する議論や意見交換を行うため、定例取締役会後に開催

指名・報酬諮問委員会

コーポレートガバナンスのさらなる充実と取締役会機能の透明性確保のため、当社は筆頭社外取締役が委員長となり社外取締役が過半数を占める指名諮問委員会及び報酬諮問委員会を設置しています。取締役会の諮問に基づき、取締役の選解任及び報酬にかかわる重要な事項を協議し、その協議又は提言の内容に基づき、取締役会に報告又は付議します。
また、各諮問委員会開催にあたり、社長は、会長や社外取締役と個別に面談し、十分な意見交換を行うなど、諮問委員会の機能向上に努めています。

両委員会の構成(2021年度)と各委員の出席状況

指名諮問委員会 報酬諮問委員会
取締役会長 内藤 忠顕 4/4回 4/4回
代表取締役社長
(社長執行役員)
長澤 仁志 4/4回 4/4回
取締役
(筆頭社外/独立役員)
片山 善博(委員長) 4/4回 4/4回
取締役
(社外/独立役員)
国谷 裕子 4/4回 4/4回
取締役
(社外/独立役員)
田邊 栄一 4/4回 4/4回

役員報酬について

業績連動型株式報酬制度

当社は、2016年度より、透明性・客観性の高い役員報酬制度である業績連動型株式報酬制度を導入しています。
2022年度より、ESG経営をさらに加速し、中長期的に株主との利害共有を図ることを目的に株式報酬制度の内容を一部改定の上、継続しました。

業績連動型株式報酬制度の概要
  1. 業績連動型株式報酬制度の対象者
  • 執行役員を兼務する取締役、会長執行役員を兼務しない取締役会長および一部を除く執行役員で、国内居住の者
  1. 業績連動型株式報酬制度の対象期間
  • 2022年4月1日から開始する3事業年度(2025年3月末日まで)
  • 信託期間の延長が行われた場合には、以降の各3事業年度
  1. 当社が拠出する信託金の上限額
  • 3事業年度を対象として、合計16億円(信託費用等を含む。)
  1. 取締役等が取得する当社株式等の数の上限および当社株式の取得方法
  • 上限となる株式数は3年間合計100万株で、発行済株式の総数(2022年3月31日時点、かつ、自己株式控除後)に対する割合は約0.6%
  • 当社株式は、株式市場から取得予定のため、希薄化は生じない
  1. 取締役等が取得する当社株式等の数の算定方法等
  • 役位固定部分と業績連動部分とに分けて算定
  • 業績連動部分にかかる株式数を算定するための指標:配当込み当社TSR(株主総利回り:Total Shareholder Return)および当社が掲げるESGに関する考え方(現時点においては2021年2月発表の「NYKグループESGストーリー」)を踏まえた当社独自のESG指標(当社TSRについては、対象期間中の東証株価指数(TOPIX)成長率および競業他社TSRとの比較によって達成度を測る。)
  • それぞれの指標の達成度に応じ、業績連動係数は0~2.0の範囲で変動
  1. 取締役等に対する当社株式等の交付等の時期
役位固定部分 毎事業年度終了後
ただし、交付後3年間は譲渡制限あり
業績連動部分 3事業年度終了後

業績連動型金銭報酬制度

当社は、従来以上に短期的な業績達成へのインセンティブを高め、企業価値向上に資する仕組みとすることを目的に、基本報酬とは別枠で、執行役員を兼務する取締役ならびに一部の執行役員を対象に「業績連動型金銭報酬制度」を2022年度より導入しました。これにより、2022年度以降に係る賞与を廃止します。

業績連動型金銭報酬制度の概要
  1. 業績連動型金銭報酬制度の対象者
  • 執行役員を兼務する取締役および一部を除く執行役員
  1. 業績連動型金銭報酬制度に関する金員の上限
  • 1事業年度あたり3億円
  1. 業績達成条件の内容
  • 業績連動指標は連結経常利益および連結ROE
  • 業績連動指標にかかる達成度を測る際の基準値は、原則として当社の中期経営計画で掲げる目標値
  • それぞれの達成度に応じ、業績連動係数は0~2.0の範囲で変動
  1. 取締役等に対する金銭の支給時期
  • 毎事業年度終了後

取締役等の報酬枠の概略図

  1. ※1賞与については、経営状況や株主還元等を勘案し、支給が相当であるときは、都度株主総会に議案を上程し承認された範囲内で支給しています。
  2. ※2業績連動型株式報酬の金額については、当社が拠出する信託金の上限額です。
  3. ※3業績連動型金銭報酬制度及び業績連動型株式報酬制度の対象者には、一定の要件を満たした執行役員も含んでおり、上記の上限額はそれら執行役員も含めた各制度の対象者全員にかかる上限額です。
  4. ※4国内非居住であることによって業績連動型株式報酬制度の対象外となる者にかかる分を含みません。

報酬構成のイメージ図

  • 上記割合は、各ケースにおける想定値で、役位により変動します。

業績連動型金銭報酬の支給及び業績連動型株式報酬の交付等のイメージ図

取締役会の実効性評価

当社は2015年度より、取締役会の実効性のさらなる向上を目的として、全役員を対象に実効性に係る自己評価アンケートを継続して実施しています。

  1. 12021年度実施要領
    • 2021年度は、第三者アドバイザーの意見も考慮した上で、①取締役会の構成と運営、②経営戦略と事業戦略、③企業倫理とリスク管理、④業績モニタリングと経営陣の評価・報酬、の4つの大項目に関する15問のアンケートを実施しました。
    • 取締役会は適切に機能し、実効性が確保されているとの結果を得ました。
  2. 22020年度に認識した課題とその取組み
    • 「運営と議論の質の向上」については、以下の対応を行い、これまで以上に充実した議論に繋げることができましたが、今後も更なる改善を図っていきます。
      1. 取締役及び監査役が意見交換を行う場である役員懇談会を有効活用し、重要なテーマを選定し自由闊達な議論を行いました。
      2. 事前説明の適切な実施により取締役会での説明を簡略化し、審議や議論の時間確保に努めました。
      3. 一方、資料の質には未だ改善の余地ありとの指摘もあり、継続課題として認識の上、更なる向上に努めていきます。
    • 「モニタリング機能の強化」と「多様性・人材戦略等」については、一定の成果がみられましたが、継続的な課題として認識しています。
      1. 財務指標や各事業部門の運営状況について適時適切な報告を行いましたが、引続きモニタリング機能の強化に努めていきます。
      2. 多様性の向上も含めた人材戦略に関しては、より一層深い議論を継続していきます。

役員向けトレーニング

当社グループの中長期ビジョンの達成と持続的な企業価値向上を図るために、ガバナンス機能の向上、公正取引等の法令遵守に対する理解の深化、取締役会の実効性の確保を目的として、社内外取締役・監査役、執行役員向けに社内研修および外部講義の受講機会を提供しています。
会社法、内部統制、リスク管理、コンプライアンス、危機対応や経営分析、財務戦略等の知識を習得する研修とともに、時宜的な最新動向をテーマに掲げた講義も行い、実践的なトレーニング内容としています。

トレーニングメニュー

  • 取締役の義務、責任(会社法、コーポレートガバナンス・コード)
  • 内部統制・コンプライアンス
  • ESG経営、人権関連ほか

政策保有株式の保有方針

当社は、保有する政策保有株式を縮減する方針で取り組んでいます。また2015年11月に制定したコーポレートガバナンス・ガイドラインに則り、個別の政策保有株式の保有目的・意義について、資本コストをベースとする収益目標と配当金・取引状況や事業活動への効果等を取締役会において毎年総合的に検証し、削減に向けた取り組みを決定しています。2016年度末に56銘柄保有していた上場株式を、2021年度末までに20銘柄減らし36銘柄としました。
現時点で当社が保有する政策保有株式は、当社業績の安定に資する長期的な取引関係が見込まれる重要取引先であり、関係維持および強化のための手段の一つとして妥当と判断しています。また、政策保有株式に係る議決権の行使にあたっては、具体的な基準を定め、投資先企業の価値の毀損につながるものではないことおよび、当社の企業価値向上への貢献の有無とその程度を確認のうえ、議案への賛否を決定しています。

監査の体制

当社は監査役会設置会社を選択しており、監査役会は、社外監査役2名を含む監査役4名で構成し、うち1名は財務及び会計に関する相当程度の知見を有しています。
監査役会においては、監査方針や監査計画の策定、監査報告書の作成、会計監査人の評価と再任・不再任、会計監査人の報酬、定時株主総会への付議議案内容の監査、等に関して審議しています。
監査役は、監査役会が定めた監査役監査基準に準拠し、監査の方針と職務の分担等の監査計画に従い、取締役会に出席し、またESG経営推進委員会等の重要な会議を通して意見を表明し、監査業務を適切に遂行しています。
常勤監査役は、経営会議、執行役員会、内部統制委員会等の重要な会議に出席するほか、取締役、執行役員及び使用人等からその職務の執行状況について報告を受け説明を求めるとともに議事録や決裁書類等を閲覧し、本店等において業務及び財産の状況を調査しています。子会社については、子会社の取締役及び監査役等との情報交換を図り、必要に応じて事業報告を受けるとともに、子会社に赴き業務及び財産の状況を調査しています。内部統制システムの構築・運用の状況を日常的に監視・検証するとともに、監査役会にて社外監査役に定期的に報告を行い、情報の共有及び意思の疎通を図り、適正な監査意見の形成に努めています。また、内部監査部門及び会計監査人と定期的に会合を開き,必要に応じて臨時の会合を設けるなど,緊密に連携を維持しています。
2021年度の監査活動は、インターネット等を経由した手段も駆使して行いました。
なお、監査役の指揮命令の下に、執行部門から独立して、専任のスタッフを有する監査役室を設置し、監査役監査業務の遂行をサポートしています。

構成人数と監査役会出席回数(2021年度)

氏名 出席回数/開催回数
社内 宮本 教子 18/18回
髙橋 栄一 11/11回
社外 中曽 宏 18/18回
桑原 聡子 18/18回
  • 髙橋栄一氏の出席状況につきましては、2021年6月18日の就任後に開催された監査役会を対象としています。

会計監査について

当社の会計監査業務を執行した公認会計士は北村嘉章氏、隅田拓也氏、柴田勝啓氏です。各氏はいずれも有限責任監査法人トーマツに所属しており、同会計士事務所の継続監査開始年度は2007年度3月期、各氏の業務執行社員としての継続監査年数は7年以内です。当社の監査業務に関わる補助者の構成は、公認会計士20名、会計士試験合格者等4名、その他42名であり、一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行っています。
また、財務諸表監査および内部統制監査を受ける主要な海外連結子会社は、主として当社の監査公認会計士などと同一のネットワーク(Deloitte Touche Tohmatsu Limited.)に属する会計士事務所を起用しています。
なお、監査役会は、会計監査人の評価に関する基準を定め、監査体制、独立性、職務遂行状況等の評価を実施のうえ、会計監査人の選任もしくは、毎年の再任、不再任を決定しています。

監査報酬の内容