内部統制システム

当社グループは、取締役会を補佐する機関として社長を委員長とする内部統制委員会を設置しています。この委員会では、財務報告の信頼性、法令の遵守、業務の有効性・効率性、資産の保全の4つを目的とする内部統制の状況を確認し、問題を発見した場合には関係する部門が適切かつ効率的に内部統制の運用に取り組むよう是正措置を講じます。
具体的には、全社統制を行うコーポレート部門と横断的な統制機能を担う社内委員会・会議の活動状況をモニタリングすることで内部統制システムの運用状況を確認し、その強化策について検討しています。
2019年度は、グループ経営の礎をより強固なものとするために、社規則の見直しや内部監査機能の強化などについて、外部専門家のサポートを受けながら、内部統制システムの運用強化に取り組みました。また、グループ内のガバナンス強化・浸透を目的に、トークセッションなどのイベントの開催やガバナンスポータルサイトの開設による双方向のコミュニケーションと積極的な情報発信を通じて、一人ひとりのガバナンスへの意識を高めています。
なお、内部統制に関する下記の社内委員会・会議を設置しています。

4つの目的すべてに関する委員会

  • 内部統制委員会
  • リスク管理委員会

①財務報告の信頼性に関する委員会

  • 内部統制委員会(JSOX部会)
  • 情報開示委員会

②法令の遵守に関する委員会

  • 遵法活動徹底委員会
  • コンプライアンス委員会
  • グローバル・コンパクト推進委員会
  • 安全・環境対策推進委員会

③業務の有効性・効率性に関する委員会

  • 人事企画委員会
  • 投資経営会議
  • 投融資委員会
  • 財務方針会議
  • グループ経営会議
  • グループIT政策会議
  • 燃費節減対策委員会

④資産の保全に関する委員会

  • 災害対策本部
  • 情報セキュリティ管理委員会

ガバナンス強化・浸透活動

  • トークセッションの実施

    2020年1月(3回開催)合計135名参加
    同年7月~9月(4回開催)合計399名参加

  • ガバナンスポータルサイトの開設

    2020年1月より開始。当社グループのガバナンス強化に向けた取り組みの紹介、役員メッセージの掲載などの情報発信プラットフォーム

  • グループ報への定期掲載

    毎月ガバナンスに関する情報を掲載

  • eラーニングの開始

    2020年度より、ガバナンスをテーマにしたeラーニングを国内外グループ会社を含め実施予定

ガバナンス強化委員会

当社は2019年1月にガバナンス強化グループを新設しました。また、客観性・独立性の高い組織として独立社外役員および社内役員から成るガバナンス強化委員会を新設し、より能動的に問題点の把握・報告と改善点の提言を行うための体制を構築しています。

ガバナンス強化委員会は、当社グループの内部統制状況を網羅的に把握する2名の社内取締役と当社グループをより客観的に見て意見することができる社外取締役・監査役で構成しており、社外役員を過半数として、社外の意見をより反映しやすい環境を整えています。この委員会は客観的な立場から当社グループのガバナンス・経営陣による業務執行をモニタリング・評価し、取締役会に共有することで、業務執行兼務取締役等による内部統制上の問題の早期把握と効果的な改善を図ります。委員会では、ガバナンス強化に関するアクションプランの進捗状況をモニタリングし、①ガバナンス体制強化に関わる改善事項、②内部統制活動強化に関わる改善事項について審議・討議し、取締役会あるいは内部統制委員会に提言・報告を行っています。

担当役員メッセージ

「ガバナンス強化の取り組み」

取締役・常務執行役員
チーフコンプライアンスオフィサー(CCO)
総務本部長
日暮 豊

総括

この1年、ガバナンスの枠組み整備に取り組んできました。ポイントは2つあります。一つ目は、経営の意思決定プロセスの見直しです。従来の業務執行に於ける経営委員会(現執行役員会)の位置づけを改定し、また業務執行取締役と本部長を構成メンバーとした経営会議を新設のうえ、業務の統理者(執行の責任者)としての社長決裁権限を明確化し、そこに於ける意思決定プロセスをより迅速かつ透明なものに変更しました。また審議そのものの質を引き上げるべく、良質な情報を整理・提供する体制の強化も図りました。一定の水準以上の重要案件は、取締役会決議事項となりますが、取締役会への上程にあたり、社内執行側での検討プロセスおよび審議のポイントなどを具体的に提示し、取締役会での審議と決議の充実を図っています。
二つ目は、内部統制のさらなる高度化です。当社グループには、約200社、34,000名以上の役員・従業員がいます。すべての組織と階層にいたるまで経営の意思を確実に共有し、実現するための枠組みを整備しました。一般的に、内部統制の枠組みは、1st Defense(事業部門内での管理)、2nd Defense(管理部門からの管理支援)、3rd Defense(内部監査)の3つのカテゴリーに区分されます。この区分に沿って、カテゴリーごとの責任の所在と機能の明確化、指揮命令系統の整理をしました。また、建て増し旅館のようになっていた社規則についても、具体的に誰が何を担うのかを整理し、誰もが共通の理解を持てるよう一新しました。問題点にいち早く気づき、自律的に改善を図るとともに、監査手法の高度化やグループ内での監査リソースの集約を進め、内部監査そのものの実効性を高めています。

ガバナンス強化アクションプラン

実効性ある運営実現のためのアクションプランを策定し、順次実行中。

さらなるガバナンスの向上に向けて

カバナンス強化委員会の活動は後半に入りました。2年目となる2020年度においては、初年度に実行した「意思決定プロセス」と「内部統制」の高度化を定着させ、自律的に改善し続けるプロセスを軌道に乗せることに焦点が移ります。その一環として、「ガバナンストーク」と称し、経営トップと若手社員とのトークセッションを開催しています。新しい枠組みをきちっと動かす、新しい社規則に基づき誰が何をすべきか一つひとつ丁寧に確認するとともに、トークセッションを国内外グループ会社にも広げながらガバナンスへの意識浸透を図ります。その過程で枠組みの問題点が見つかれば、修正します。このPDCAサイクルが2周目に入れば、先述の1st Defenseから3rd Defenseまでが健全に機能することが確認でき、ガバナンス強化委員会はその役目を終えることとなります。私は、2014年に法務部門に着任しましたが、その際に会社から与えられた課題は、現在から将来にわたるまで会社から必要とされる部門に改革することでした。その背景には、2012年の独禁法違反があります(→P.74)。その後も、当社グループのコンプライアンス上の課題を突き付けられた事案が残念ながら続きました。着任当初より改革を進めてきましたが、富士登山に喩えるならば、ようやく5合目にたどり着いたところです。「5合目」という言葉には、これら課題への対応を経て、ようやく視界が開け、更に大勢の仲間とともにあるべきガバナンスへと歩みを進めていくという決意を込めています。近年、一緒に歩き出してくれる仲間も増えてきました。ステークホルダーからさまざまな期待が寄せられる中、事業部門、管理部門、監査部門が一体となって一歩ずつ6合目、7合目へと進んでいきたいと思います。

財務報告に係る内部統制

財務報告に係る内部統制については、内部統制報告制度(金融商品取引法の規定による)の実施基準に準拠して整備し、運用しています。今後もこの内部統制体制を維持し、定着を図っていくことで、財務報告の信頼性の確保に努めていきます。

内部監査活動

国内監査

経営の健全性や有効性・効率性を確認し、改善のための提言と進捗のフォローアップを行うのが、内部監査活動です。
内部監査室は、当社および約140の国内グループ会社各社を監査活動対象として事業監査を定期的に実施しています。

2019年度の主な監査活動

  1. 1グループ会社監査、年間13社
  2. 2本社各部門、支店を対象にした監査
  3. 3支払承認の業務委託に関する、日本郵船(株)と国内グループ会社への支払統制監査

海外監査

海外で対象となる約240のグループ会社に対しては、海外4拠点に所属する内部監査人が定期的に事業監査を実施しています(2019年度は53拠点で実施)。
監査指摘事項は、本社の担当役員などへ報告し事業別に指導・監督される一方、海外地域統轄責任者への報告も行い、地域ごとの内部統制機能の底上げを図っています。
内部監査室と海外監査人は、同じフィロソフィーやルールによる監査、不正リスク評価プログラムの実施を通じて、当社グループ全体の内部統制の向上に貢献しています。

  • 不正リスク評価
    従業員からの無記名アンケートを集計し、影響額と発生頻度から想定されるリスクの蓋然性を洗い出し、結果を報告された経営陣が、今後その不正が起きぬよう未然防止策などを作成することを支援する取り組み。各社の行動規範修正や個々の業務手続きの見直し、コンプライアンスオフィサーによる不正防止の研修等を実施。