コンプライアンスの強化

コンプライアンスの強化

世界的にさまざまなルールの強化が進む中で、企業にはより一層高いコンプライアンス意識が求められています。
当社グループのコンプライアンス意識の保持および促進のためにコンプライアンス委員会を設置し、同委員会においてコンプライアンス年度実施計画や活動方針のほか、コンプライアンスに関する重要な事項の審議・決議を行っています。同委員会は年2回開催され、審議事項は取締役会を通じて社外役員に報告しています。当社の役員・従業員の業務遂行にあたっての規範となる「日本郵船株式会社行動規準」については、事業環境や社会情勢の変化に合わせ、定期的に見直しを行っています。
また、毎年9月を当社グループのコンプライアンス強化月間と定め、従業員自らの行動や業務プロセスを見直すための総点検活動を実施しています。同活動で実施した社員の意識調査結果については、社内掲示板を通してフィードバックを行い、社員一人ひとりのコンプライアンス意識の向上を図っています。

日本郵船グループのコンプライアンス体制図

  1. 常勤監査等委員へ定期的かつ必要に応じ適時報告
コンプライアンス強化に向けた主な取り組み
1997年
  • グループ企業行動憲章の制定
1999年
  • 行動規準の制定
2002年
  • チーフコンプライアンスオフィサーの設置
2005年
  • グループ企業理念の制定
2006年
  • 内部統制委員会の設置
2008年
  • 独占禁止法タスク・フォースの設置
2013年
  • 独禁法遵法活動徹底委員会の設置
2016年
  • 新規事業立ち上げ時における外国公務員贈収賄防止対策の導入
  • 行動規準の改正
2017年
  • 行動規準への誓約書の導入
2020年
  • コンプライアンス関連規則の改正
2023年
  • グループ企業理念の改正
  • グループ企業行動憲章の改正
  • 行動規準の改正

コンプライアンス研修一覧

当社グループでは集合研修やeラーニングを通して、コンプライアンス、独占禁止法・贈収賄禁止等に対する意識の向上を図っています。

2022年度 実施状況 実施回数 受講者数
コンプライアンス研修※1 45回 1,129名
独占禁止法・贈収賄禁止等研修※2 71回 1,896名
eラーニング 1回 7,473名
  1. ※12002年度以降延べ546回、14,876名
  2. ※2国内外グループ会社、19カ国、88社を対象に、国内は8回(個社別研修)、海外は地域ごとに1〜3年に1回実施。2009年以降延べ48,338名

税務コンプライアンス

当社グループは各国の法令を遵守し適正な納税義務を果たすことが社会的責任であるとの認識のもと、税務コンプライアンス向上に努めています。
近年、企業の活動実態と各国の税制や国際課税ルールとのずれを利用した課税回避行為が問題視されています。これに対処するOECDによるBEPS(Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクトなど国際的な税務フレームワークに対応することが税務の透明性の確保に不可欠であり、対応を進めています。

内部通報制度

当社では職場での不正やハラスメント、法令違反などコンプライアンスに関わる懸念・問題の相談先として、社員や外部弁護士が聞き役となる「郵船しゃべり場」や外部業者により運営される相談窓口など、複数の相談窓口を設けています。国内ヘルプラインの一つである「郵船しゃべり場」では社外弁護士を含む6名の「聞き役」がコンプライアンスに関わる相談・通報を幅広く受け付けており、現在グループ会社約64社が利用しています。
また届いた相談に対しては、相談者が不利益を被らないこと、および相談者が望む場合はその秘匿を第一としながら真摯に対応し、職場環境の改善につなげています。

独占禁止法遵守への対応

海運自由の原則(公海における自由航行、領海内における無害航行)が支配する外航海運業は、市場の参入と退出が自由であり、競争激化に陥りやすいため、その弊害である安定輸送網の断絶、途上国海運・産業の競争力の喪失などの負の面を軽減すべく、ある一定の条件の下、独占禁止法適用除外の扱いを受けてきました。
今日では、そのような法的保護は縮小する一方で、社会インフラとしての責任を全うするため、寄港頻度と多様な航路網の維持を目的として船社間での協調配船が行われており、競合他社と接触する機会が多く存在する業種であると言えます。
当社グループは、2012年9月以降、自動車などの貨物輸送に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして、海外当局の調査の対象となっています。当社および一部の海外現地法人は、複数の地域において損害賠償請求訴訟(集団訴訟)を提起されています。
ステークホルダーの皆さまには、多大なご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。
従前より、社長による独占禁止法遵守徹底の表明、当社グループの国内外すべてにまたがる統制ネットワークの構築と運用、同法マニュアルなどの整備や各種研修による社内の啓発と教育、同業他社との接触規制などの諸施策を実施してきましたが、結果としてこのような事態になりましたことを真摯に受け止め、グループ役員・従業員一人ひとりの意識を高めるべく独占禁止法遵守を再徹底するための体制構築および活動を推進しています。

  • 社員に加え、他社からの出向者および派遣社員を含む
再発防止に向けた施策(2013年から継続)
  • 遵法活動徹底委員会の開催(毎年開催)

    社長を委員長とし、取締役、執行役員、監査役、海外地域統轄会社の地域長※1・本社のグループ長、各グループのコンプライアンス担当者が参加。
    2022年は9月に実施(195名出席)。
    独禁法等遵法徹底委員会より数えて、2022年9月までに合計17回開催

  • 国内外グループ会社を含む全事業部門のリスクアセスメント実施、ガイドライン策定
  • 独占禁止法・競争法遵守に関する誓約書の取得
  • 業界会合届出制度※2を本社・国内外子会社の役員・従業員を対象に導入
  1. ※1ガバナンス強化策の一環で、2020年度より海外4極の地域統轄会社の地域ガバナンス長(RGO:Regional Governance Officer)にも対象を拡大
  2. ※2同業他社と接する機会を限定し、必要な会合に参加する場合は、事前の届け出および事後の面談内容の報告を行うよう定めた制度

贈収賄禁止の徹底

日本国不正競争防止法(外国公務員贈賄罪)、米国海外腐敗行為防止法、英国贈収賄防止法などの各国贈収賄防止法に対応するため、2014年1月に贈収賄禁止に関する基本方針およびガイドラインを整備しました。2015年度より国内外の従業員を対象に、贈収賄禁止に関する研修を行っています。また、海運業界全体における公正な取引の実現に向け、腐敗排除・防止を目的とした活動を行っているグローバルネットワークであり、その腐敗の根本的な原因を究明し、またその軽減に向け政府関係者や行政当局、国際機関など主要なステークホルダーと協力関係を築いているMaritime Anti-Corruption Network(MACN)に2015年度より加入しています。

贈収賄デューディリジェンスの実施

さらに、2016年4月に外国公務員贈収賄防止対策の体制を確立し、高リスク国での新規事業検討にあたっては法務部門がパートナーや代理店候補に贈収賄関連の問題がないかのスクリーニングを行い、契約締結時の贈収賄禁止条項の織り込みなどについて提言・確認をしています。

法務関連の相談体制

新規投資判断および事業の検討にあたっては、独占禁止法・贈収賄・経済制裁に関する確認のため、法務部門でのスクリーニングとデューディリジェンスを行うなどのリスク管理体制を整えています。

反贈収賄に関する第三者認証

当社は、ビジネスにおけるコンプライアンス遵守に関する国際的な認証機関であるEthixbase360によるデューデリジェンス審査に合格し、認証を取得しました。今後も、国際的な商業取引における公正かつ透明な適性取引に努めていきます。

Tcertification

ID:TC3182-6961
有効期間:2024年1月15日〜2025年1月14日

関連リンク:

政治献金

当社は、政策立案への働きかけの一環として政治献金を行う場合、政治資金規正法を遵守し、当社業績に照らしあわせ、適正な社内手続に従った上で実施しています。
また、企業の社会的責任と事業価値の拡大の両立を図るため、献金先を慎重に評価し、適切な水準の金額を献金しています。