進化し続けるESG経営

当社グループは、2023年3月に発表した中期経営計画にて、「ESGを中核に据えた成長戦略」を明示しました。これからも社会や産業から必要とされるSustainable Solution Providerを目指し、グループ社員一人ひとりが「経済性」のモノサシと「ESG」のモノサシで徹底的に考え抜いた上で、当社グループが社会から必要とされる存在であり続けるために必要だと判断すれば、長期的な視点で、経営資源(ヒト・モノ・カネ・データ)を重点的に投入します。その結果、当社グループの既存事業の差別化や、新たな事業領域を作り出すこと、またブランディングの向上、グループ社員の働きがいや誇りにもつながるなど、当社グループの企業価値向上を可能にすると考えています。

Sustainable Solution Provider

ESG経営の推進体制

当社グループが取り組むESG課題を抽出し、具体的な目標を掲げ、より一層の行動を促すために2020年4月に社長をトップとするESG経営推進体制を整えました。2023年4月からはESG戦略本部を新設し、同本部内にESG経営グループと脱炭素グループを設置しました。また従来のESG経営推進委員会を発展させる形でESG戦略委員会へと改称し、より高頻度かつ具体的な議論を進めていきます。各本部を代表する執行役員と外部有識者で構成し、全社方針や目標の設定とともに、各本部が策定するアクションプランの進捗確認など、ESGに関わる幅広いテーマを戦略的に討議し、ESG戦略本部から経営会議や取締役会へ報告していきます。

ESG経営推進体制図(2023年4月1日時点)

ESG経営推進体制図(2023年4月1日時点)

ESG経営推進委員会(2021~2022年度)の活動記録

年度 実施回数 主な議題
2021年度 計4回
  • シップリサイクルについてSRTI※1への参加決定
  • KPI※2目標策定に向けての議論
  • 外航海運GHG排出ネット・ゼロエミッション宣言
  • 「NYKグループESGストーリー2022」内容検討
2022年度 計4回
  • TCFDレポート内容検討
  • 人権方針
  • GHG排出量削減に向けての議論
  • エンゲージメントサーベイ実施報告
  1. ※1SRTI:Ship Recycling Transparency Initiative。シップリサイクルの透明性を高める情報開示プラットフォーム
  2. ※2KPI:Key Performance Indicator。重要業績評価指標。組織の業績評価において戦略目標の達成度を定量的に測定する指標。ESG経営推進委員会においては、ESG経営における全社的な数値目標を定め、進捗を測定する

ESG戦略委員会(2023年度~)の活動計画

年度 実施回数 主な議題(案)
2023年度 計12回
  • マテリアリティについての議論
  • SDGs対照表の更新
  • 有価証券報告書のサステナビリティ情報開示
  • KPI実績と取組状況

グループ全体に広がるESG経営の考え方

ESG経営は当社のみならず当社グループ全体へも着実に広がり始めており、国内外における複数のグループ会社が自主的にESG経営を考えはじめています。
当社はグループ会社各社との連携強化に努めています。国内各社とはグループ会社社長定例会などを通して直接対話し、海外各社とは米州・欧州・東アジア・南アジアの各拠点に設置しているRegional Management Office(RMO)を中心に、本社と各拠点や各拠点間での良好なコミュニケーションを維持しています。加えて、ますます変動するグローバルの事業環境のもとで当社グループの地域戦略を深度化し、より機動的な事業展開を図るため、RGOを維持した上で2022年4月に新たに南アジアと中東地域において、地域代表と国代表を設置しました。
当社グループはグローバルに事業展開をしており、さまざまな事業内容、事業規模のグループ会社で構成されています。今後も事業内容や規模に拘わらず、当社グループ全体への浸透を目指し、管掌部門とグループ会社が一体となり取り組みを進めていきます。

ESG経営浸透のための取り組み

日本郵船グループは、グループ社員一人ひとりが長期的な視点に立ち、「ESG」のモノサシを持って、既存事業の差別化、新しい事業領域の拡大、投資を通じて、社会課題解決に貢献するという好循環を生み出すことを目指しています。取り組みの土台として、本社各部署にESG Navigatorを設置しました。ESG Navigatorは、マネジメントが示す方向性・方針を所属部署に伝達する触媒の役割を担っています。
2023年度からはESG経営を実装段階へ引き上げるために体制を再構築し、社内外のESGに関する情報の積極的な交換に取り組んでいきます。

ESG Navigator 制度

ESG Navigator 制度

ESG Navigatorとは各部署において、トップダウンとボトムアップの両方のアプローチを支え、ESG経営推進を担う担当者のことです。現在、本社内全50部署でグループ長・室長・支店長が任命したESG Navigator 103名が活動しています。船の世界ではNavigatorとは航海士のことですが、ここでは航海長である二等航海士を指します。航海長(二等航海士)の重要な仕事の一つに航海計画の策定があり、船の進むべきルートを船長と議論を交わしながら決定します。また船内全体で意見を取りまとめる際も中心的な立場となり、乗組員の意見をまとめていきます。ESG NavigatorにはオフィスでESG経営を推進するにあたり、船上での航海長の役割を担ってもらいたいとの思いを込めています。具体的には、①ESG Navigatorとグループ長・室長が自グループの「ありたい姿」へ辿り着くためのルートをどう描くかを議論、②マネジメントの考えをグループ員と共有、③若手層の自由闊達な意見をリードし、グループ員の意見を各所に展開する役割を担っています。

ESG Navigators' Dialogue

ESGの考え方をうまく活用した各部署の事例共有や、サステナビリティ全般に関する世の中の動き、専門知識のアップデートを目的としており、2021年度は全10回実施し、延べ900名が、2022年度は全10回実施し、延べ830名が参加しました。2023年度は社内外の取り組みや社会動向も盛り込み継続的に実施しています。

ESG Navigators' Meeting

各部署のESG Navigatorが一堂に会し、ESGに関するさまざまなトピックについて自由な発想をもとに活発に議論しています。
小規模のグループに分かれ、双方向のコミュニケーションの中でそれぞれが抱える課題の共有や意見交換を行い、さらなるESG経営浸透の加速につなげています。

ESG関連情報発信

本社およびグループ会社向けのITプラットフォームを新たに整備し、定期的にESG関連情報やニュースの発信を行っています。双方向の情報のやり取りが可能な仕組みを作ることでグループ全体のタイムリーな情報共有を実現しています。

その他の取り組み

  • eラーニング(ESG経営、環境、独占禁止法など)
  • 新入社員向けESG研修
  • グループ報「YUSEN」等へのトピック掲載
  • ESGをテーマとした外部有識者講演会の実施
  • 社外パートナーによるオンライン講演会(テーマ:コミュニティ)

ESG経営浸透活動事例

ESG経営浸透を目的として、国内外グループ社員向けに多くの取り組みを行っています。

2021年度以降の活動事例

  内容 対象者 時期 参加人数
国内 基調講演 全2回
ゴールドマン・サックス証券(株)清水大吾 氏
国内外グループ会社従業員 2021/7, 12 延べ601名
NYKレポート2021(統合報告書)グループ内説明会 国内外グループ会社従業員 2021/10-11 延べ387名
社長によるタウンホールミーティング 国内外グループ会社従業員 2022/2 1,101名(オンライン)+176名(アーカイブ)
担当執行役員による「NYKグループESGストーリー2022」グループ内説明会 国内外グループ会社従業員 2022/3 約600名
NYKレポート2022(統合報告書)グループ内説明会 国内外グループ会社従業員 2022/11 延べ138名
海外 フィリピン船員集会でのミーティング 船員(主に乗船前の隔離期間中の方々)とその家族、NYKグループ関係者 2021/7 約1,000名
北米での社長によるタウンホールミーティング 北中南米グループ会社従業員 2022/4 約250名
ESG経営の取り組みに関するオンラインミーティング 海外グループ会社従業員 2023/1 延べ840名