海洋汚染防止

当社のビルジシステムが国際的なガイドラインとして採択

船舶の運航に伴い機関室などの底に露、漏洩水、油などが混じった油水混合物(ビルジ)が溜まります。当社では、ビルジの発生量を大幅に削減出来る独自の仕組みを1996年に考案し、当社支配船に採用してきました。コンテナ船の例では1日あたり28リットル(98.4%削減)に抑えることができました。
当社は海運業界の環境推進企業としてこのコンセプトを世界に広げるべく、日本政府案として国際機関であるIMO※1に提案し、2006年3月に国際的なガイドラインとして採択されました。

  1. ※1IMO(International Maritime Organization)
    国際海事機関の事。海運・造船に関する技術的問題や法律的問題について、政府間の協力の促進や条約の策定等を行っている国連の専門機関。

事故での油濁防止対策を推進【ダブルハル化】

タンカーの座礁や衝突による油流出事故の被害を最小限にとどめるため、船底や貨物油タンク壁面を2重構造にするダブルハル化※2を進めてきました。2010年からの国際条約による義務化に先立ち、2009年2月に全てのタンカーのダブル化を完了しました。タンカーだけでなく、2005年12月以降の竣工船は燃料タンクをダブルハル化しています。

  1. ※2ダブルハル化
    単層構造の船体をシングルハルと言い、二重構造の船体をダブルハルという。

海洋汚染事故を未然に防ぐ【耐腐食鋼板】— 市村産業賞を受賞

耐腐食鋼板

原油タンカーの底面には、原油に含まれる塩水が沈殿してピットと呼ばれる腐食によるくぼみが発生し、油漏れなどの重大事故につながる可能性がありました。そこで、当社は腐食を防ぐ耐腐食鋼板を新日本製鐵株式会社と共同開発し、いち早く実用化しました。このことにより、従来は点検のたびに数千箇所もの補修が必要でしたが、耐腐食鋼板を使用したタンカーでは補修箇所ゼロを実現しました。この耐腐食鋼板の有効性は国際的にも認識されており、昨年原油タンカータンクの腐食防止措置に関するSOLAS条約の改正において、耐食鋼が塗装性能基準に従った塗装に代わる有効な防食技術として規定されました。また、この研究内容、実船での適用が評価され、財団法人新技術開発財団より日本の産業の発展に貢献・功績のあった国産技術の開発者を表彰する伝統と権威ある賞である、第43回(平成22年度)市村産業賞貢献賞を受賞しました。

安全かつ環境に優しいシップリサイクルのための取り組み

船舶が解体される際の、労働災害や環境汚染を最小限にするために、IMOにおいて2009年にシップリサイクル条約が採択され、発効に向けた各国の批准が進んでいます。

船舶には良質な鉄が大量に含まれており、中大型船はその9割以上が建築資材、再生素材や中古品として再資源化されています。この貴重な再生資源を適切に処理することが循環経済実現のためには重要です。

当社グループの船舶解体に関する目標は、シップリサイクル条約の早期発効により世界中の全ての船舶が条約の基準に拠り適切に処理が行われることです。
当社が先駆けて条約の基準を取り込むことにより、条約をシップリサイクルに関わる全てのステークホルダーにおけるスタンダードとして定着させ、条約の早期発効に向けた機運を高めることを目指します。

当社グループの株式会社日本海洋科学は、JICAの実施する「インド国シップリサイクルヤード改善事業準備調査」において、70ヤードを対象とした改修土木工事、廃棄物焼却炉や有害物質処理装置等の機材選定、入札補助や施工管理に対する補助に関するコンサルティングサービスを実施し、インドのヤードが早期に条約適合するための支援を行ってきました。

当社解撤ポリシー

当社は条約締結に先立ち2008年には条約最終案を取り込んだ以下のリサイクルポリシーを制定し、今後も改善を続けます。

  • 当社および当社グループ会社所有の全船を対象とし、IHMを作成、本船に配備する。解撤可能性のある船については優先的に作成を行い、ヤードへ引き渡す際には確実に配備する。
  • 船級協会により条約の「適合鑑定書」の発行を受けたヤードを基本に、実際に現地に赴き、ISO 14001/9001/30000/OHSAS 18001の取得有無等も判断基準の材料としながら、当社独自基準を満たした場合のみ当社認定ヤードとする。
  • 定期的に当社認定ヤードへ赴き、環境・労働安全衛生の水準が当社の解撤方針・基準を維持しているか確認する。
  • 解撤の際は当社独自の解撤売船契約書を用い、ヤードへ引き渡し後は契約に基づいた安全・環境の対応状況を確認し、解撤工程をモニタリングする。

シップリサイクルの流れ