日本郵船の舞台裏私たちの働き方

赤ちゃんと始まったロンドン生活。グローバル輸送を担う若手駐在員が実感した4つの必須スキル

英国・ロンドンで働く2018年入社の佐野哲也

日本郵船では、ジョブローテーションを通じて多様な職種を経験しながら、若手社員でも世界を舞台に活躍できるフィールドが広がっています。赴任先は欧州、北米、南米、アジア、オセアニアなど多岐にわたり、本店とは異なる視点から仕事に向き合う機会を得られます。若手の海外駐在員へのインタビューシリーズ第3弾は、英国・ロンドンで働く社員にフォーカスします。

伝統と革新が多様性の中で共存し、英国の政治・経済の中心として発展を続けるロンドン。世界中からさまざまなバックグラウンドを持つ人々が集まり、街を歩けば多様な言語が飛び交う国際都市でもあります。
現在、ロンドンに家族帯同で赴任しているのが、2018年入社の佐野哲也です。2024年4月よりNYK GROUP EUROPE LTD.に勤務しています。多国籍チームでの運航管理の仕事、ロンドンでの生活、さらには今後のキャリアビジョンについて話を聞きました。

家族帯同で憧れだった海外駐在へ

――日本郵船を志望した理由
大学時代は経済学部で、ゼミでは国際金融について学びました。具体的には、過去に数回起こった中国バブルについて分析する研究に取り組んでいました。

就職活動では、社会基盤を支えるインフラ事業に携わりつつ、海外にもフィールドを持つ企業が良いと考え、金融・商社・物流など幅広く検討していました。海外志向が強かったのは、幼い頃から海外で働く父の背中を見て育ったことが大きいですね。数ある企業の中で日本郵船を志望したのは、OB訪問を通じて社員の方々に魅力を感じ、「この人たちと一緒に働きたい」と感じたことが大きな決め手でした。

――ロンドン駐在に至った経緯
入社後は経理関連部署で約3年勤務し、その後のジョブローテーションで自動車船グループへ異動。約2年半、運航オペレーション業務を担当しました。自動車船グループは海外赴任のチャンスがあると聞いていたため、「My Career Story」(日本郵船で導入されている社員のキャリアの希望や将来像を会社と共有するための制度)で「海外に駐在したい」と明確に希望を伝えました。地域にこだわりはなかったのですが、ロンドン駐在が決まったときには、とてもうれしく感じました。というのも、実は父もかつてロンドンに駐在していたため、どこか“縁”のようなものを感じたからです。

ロンドンの象徴、ビッグ・ベン(本人撮影)

ロンドンの象徴、ビッグ・ベン(本人撮影)

――ロンドンへの赴任が決まったときの家族の反応
私の妻は旅行が好きで海外にも慣れていましたが、それでも最初は不安も大きかったと思います。というのも、内示のわずか1週間前に第1子が誕生しており、海外で子育てをスタートすることになる状況だったからです。話し合いを重ねた結果、「一緒に頑張ろう」と、駐在を前向きに受け止めてくれたので、ホッとしましたし、とても心強く感じました。

日本郵船の福利厚生として、海外駐在者には、子どもの保育料補助があり、海外駐在者向けサービスとして日本の食品を取り寄せることもできます。さらに、年1回の一時帰国時には航空券代も補填されます。海外駐在をする上で不便を感じることはありません。

高いスキルを持つ、運航管理のプロたちとのチームワーク

――現地での主な仕事内容
ロンドンでは、主に自動車専用船を管理・サポートする運航業務に就いています。自動車専用船の運航スケジュールをもとに、船員や現地代理店と密に連携し、船が安全かつ円滑に運航できるよう調整するのが主な役割です。担当エリアは欧州全域から南アフリカの一部地域までカバーします。

海外拠点ならではの業務として、フィーダー船の手配があります。フィーダー船とは、大型船が寄港できない地方港への貨物を中継輸送する小型船のことです。例えば日本車を海外へ輸送する際、自動車専用船が寄港できるのは“ハブ港”と呼ばれる大規模港であり、そこから先は、別の船会社のフィーダー船で運んでもらいます。フィーダー船を手配し、スケジュール通りに貨物が届くよう調整することも大切な業務の一つです。

――業務の中で感じる日本との違い
運航業務に携わるメンバーは9名で、英国出身者は2名、他はイタリアやエストニアなど、多様な国籍のスタッフで構成されています。国際的な環境で働けることは大きな魅力だと感じています。

NYK GROUP EUROPE LTD.には、それぞれの分野で豊富な経験を積んだプロフェッショナルが多く在籍し、卓越したスキルを持つ同僚から学ぶ機会が多い職場です。赴任当初は「本店から来た自分がチームを引っ張らなければ」というプレッシャーもありましたが、今では気負い過ぎず、知識や経験が豊富な同僚から積極的に学ぶようにしています。頼りがいのある仲間に支えられながら働けることを、とても心強く感じています。

オフィスから望むロンドンの街並み

オフィスから望むロンドンの街並み

オフィスはロンドン有数のビジネス街、Canary Wharfエリアに位置する

オフィスはロンドン有数のビジネス街、Canary Wharfエリアに位置する

――駐在してあらためて気づいたこと
英国では、基本的に定時で仕事を切り上げて、家族との時間を大切にする文化が根付いています。とはいえ、現場でのトラブルなど緊急が発生した場合、時間外や休日での対応もいとわず、責任感の強いメンバーが多いです。そんな彼らの様子を近くで見ていると、世界各地の現地スタッフのサポートがあってこその日本郵船グループであることを、あらためて実感します。だからこそ本店のミッションをしっかり彼らと共有し、全員が同じ目線で業務に取り組める環境づくりを大切にしていきたいと考えています。

海外で働くために必要な四つのスキルとは?

――駐在地で必要だと感じるスキル
自身の経験から、海外で働く上で重要なスキルは大きく四つあると感じています。

一つ目は「語学力」です。自分の考えを伝え、相手の意図を正しく理解できることは、海外で働く上で欠かせない基盤となるため、まずは一定の語学力が求められます。二つ目は「巻き込み力」です。現地には現地のやり方があるため、日本人だけで課題を抱え込まず、現地スタッフと協力して目的を達成していく姿勢が重要です。三つ目は「コミュニケーション能力」です。これは海外に限りませんが、信頼関係を築く上で欠かせないスキルだと感じています。そして四つ目が「体力」。駐在員は慣れない環境での生活に加えて出張も多く、特に赴任当初は疲労がたまります。万全の状態で仕事に臨むためにも、日頃から体力を維持することが大切だと考えています。

――英語圏で働くために必要な語学力
私は留学経験もなく、英語はそれほど得意ではありませんでした。しかし、本店の自動車グループで働いていた時に担当していた、オペレーション業務は基本的に英語で行っていたため、専門用語や業務上必要な表現などは、業務を遂行する中で身に付けることができました。そのおかげで、ロンドンでも業務自体は比較的スムーズに進められています。

一方、難しさを感じるのは日常会話です。例えば同僚とのランチでは多様な話題が飛び交い、思うように言葉が出てこないこともあります。業務に必要な英語だけでなく、日常のコミュニケーションに対応できる語学力があると、より安心して働けると感じています。私は、ロンドンに駐在してからも、個人レッスンなどで英語の勉強を続けています。

国際都市の魅力と、海外生活のリアル

――ロンドンの暮らしやすさ
ロンドンは欧州でも有数の大都市で、スーパーでは日本食材も充実しており、暮らしやすい環境です。特に感じるのは、子どもに温かいまなざしを向けてくれる人が多いことです。子どもがぐずっているとあやしてくれたり、ベビーカーや荷物を抱えていると「手伝いましょうか」と声をかけてくれたりするなど、子育てに優しい雰囲気が根づいています。近くには会社の先輩家族も住んでいるので、家族ぐるみの交流があることも現地生活の支えになっています。

休暇中に旅行先でサッカー観戦

休暇中に旅行先でサッカー観戦

――ロンドンの街が見せる、さまざまな日常
現地での生活は日本だと考えられないようなことも起こります。2か月前に浴室の換気扇が故障したのですが、大家さんが業者を手配してくれても、来訪したエンジニアが「専門外」と言って作業してくれないことが続き、実は今でも修理が完了していません。日本との対応スピードの違いや、仕事に対する考え方の違いを痛感しました。

ロンドンは様々なバックグラウンドを持つ人々が暮らす国際都市で、街を歩けば豊かな多文化性を日々感じます。一方で、移民政策を巡る不一致からデモが行われることも増えています。

また、ストライキで公共交通機関が長期間止まることもしばしばあります。ロンドンは地下鉄通勤が一般的で、私も会社まで地下鉄で40分かけて通勤しているのですが、ストライキが1週間続き、在宅勤務に切り替えることもありました。こういった経験は、海外ならではの価値観やダイナミズムを実感するエピソードですね。

――仕事終わりは同僚とパブへ
英国では、パブ文化が生活の一部として根づいており、仕事後に同僚と気軽にパブに立ち寄ることもよくあります。日本では「1杯だけ」と言いつつ、つい長居してしまうことも少なくないと思いますが、こちらでは、“仕事終わりに一杯だけ”という時には、本当にビールを1杯だけで切り上げることが多いです。1~2時間パブで過ごしても、ビールを片手に会話を楽しむというスタイルは、日本のように居酒屋で“飲みながら食事をしっかりとる”文化とは異なります。パブがより“社交の場”として機能している点がとても興味深いと感じています。

クリスマスにちなみサンタクロースの扮装で走るチャリティーマラソン大会「サンタ・ラン(Santa Run)」 は、ほぼ社内行事になっている

クリスマスにちなみサンタクロースの扮装で走るチャリティーマラソン大会「サンタ・ラン(Santa Run)」 は、ほぼ社内行事になっている

海外駐在のチャンスが広がる会社

――今後チャレンジしてみたいこと
ロンドンでの駐在を終えた後は、運航管理の経験を活かしつつ、営業分野にも挑戦してみたいと考えています。例えば、成長を続けるONE(オーシャン・ネットワーク・エクスプレス:)などへ出向し、ある程度自分の裁量を持って営業活動に携われるようになれば、マーケット理解や顧客対応力といった面でも、さらなるスキルアップにつながると考えています。また、機会があれば運航以外の職種でも海外駐在を経験したいです。さまざまな職種や職場を経験することで、より広い視野を持ってキャリアを築いていきたいと思っています。

――海外駐在を目指す就活生へのメッセージ
日本郵船は、ジョブローテーションを通じて幅広い職種を経験でき、さまざまなキャリアに挑戦できる環境が魅力です。私の同期は30名ほどいるのですが、そのうち半数近くがすでに海外駐在や海外研修を経験しています。私自身も、長年の目標だった海外駐在を実現することができました。自分自身の希望を会社にしっかり伝えることで道が開けると感じているので、海外で働きたいと考えている方には、日本郵船は自信を持ってお勧めできる会社です。

ロンドンという多様な環境で培った経験と視点は、今後、新たな領域へ挑戦する際の確かな礎となることでしょう。社員の成長を後押しし、世界で活躍できる舞台が整った日本郵船だからこそ、一人ひとりのキャリアは大きく広がっていきます。