日本郵船の舞台裏私たちの働き方

船会社でなぜヒューストン駐在? “エネルギーの首都”で挑む新規事業開拓

米国・ヒューストンで働く藤森文也

日本郵船では、ジョブローテーションを通じて多様な職種を経験しながら、若手社員にも世界を舞台に活躍できるフィールドが広がっています。赴任先は欧州、北米、南米、アジア、オセアニアなど多岐にわたり、国内勤務とは異なる視点で仕事に向き合う機会を得ることができます。若手海外駐在員へのインタビューシリーズ第2弾は、米国・ヒューストンで働く社員にフォーカスします。

米国テキサス州ヒューストンは、メキシコ湾岸最大のコンテナ港であるヒューストン港を擁し、石油やLNG(液化天然ガス)をはじめとするエネルギー関連製品の輸出入において、世界的に重要な位置を占めています。

現地に赴任しているのが、2017年入社の藤森文也です。2022年10月よりNYK GROUP AMERICAS INC. に勤務し、営業担当として新規事業開発を中心に取り組んでいます。

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グローバルに働く夢を実現できる日本郵船

――日本郵船を志望した理由
大学では工学部に所属し、造船に関わる研究室で学びました。もともとモノづくりに関心があり、在学中には自動航行ボートを製作する大会にも出場しました。そうした中、研究室の先輩が日本郵船に入社したことをきっかけに、同社の存在を知りました。

自作した自動航行ボートを琵琶湖で運航させる大会に参加。写真右手前が藤森

自作した自動航行ボートを琵琶湖で運航させる大会に参加。写真右手前が藤森

私は幼少期を父の仕事の都合でカナダ、米国、英国など海外で過ごしました。将来は海外で仕事ができる会社に就職したいという想いがあり、英語を使って仕事をすることへの憧れもありました。日本の素晴らしさにあらためて気付ける点も、海外に身を置くことの魅力だと感じています。また働くのであれば人々の生活を支えている実感の得やすいインフラ事業に携わりたいと考えており、海外勤務×インフラという二軸で商社や海運会社に絞って就職活動をしていました。

就職活動中は総合商社も受けており、最終面接まで進んだ企業もありました。グローバルな仕事環境という点では自分の志向に合っていたため、最後まで迷いましたが、日本郵船は、採用面接が進み、複数の社員に接するなかで、物腰が柔らかく、誠実な方が多いと感じました。チームワークを大切にしながら働きたいと考える自身の性格にも、日本郵船の社風は合っていると感じ、最終的に入社を決めました。

――働く中で感じる日本郵船の魅力
私は好奇心旺盛な性格で、新たなことへの探究心が強いタイプです。日本郵船には、一定期間で部署を異動し、さまざまな業務を経験できるジョブローテーションがあり、そのたびに転職しているような感覚を味わいながら、さまざまな知識を吸収できる点が大きな魅力だと感じています。

私の場合、入社して最初の3年半は自動車船グループ、次の1年半はLNGグループ、そして2022年10月からヒューストン駐在という流れでローテーションしてきました。自動車専用船やLNG船といった外航船のオペレーションは、国内勤務であってもグローバルな事業に携わっている感覚を味わえるため、そうした環境を好む人に向いていると思います。港などの現場に出向く機会も多く、自身で運航管理をしている巨大な船を目の当たりにするたびに自分の仕事が世界の物流を支えているのだという実感と使命感が湧いてきます。

苫小牧港での訪船(自動車船グループ勤務時)

苫小牧港での訪船(自動車船グループ勤務時)

――ヒューストン駐在に至った経緯
就職活動の段階から海外駐在を見据えており、その「駐在したい」という意向は、入社後早い段階から希望として人事に伝えていました。同じように海外駐在を目指している人は、ぜひそうすることをお勧めします。実際に赴任が決まったときには、正直驚きましたが、希望を実現できたのはうれしかったですね。

エネルギー産業の中心地を舞台に新規事業開発

――“エネルギーの首都”としてのヒューストンの印象
名だたるエネルギー企業が軒を連ねているのを目にして、改めてヒューストンが世界有数のエネルギー産業の中心地であることを実感しました。私が赴任した当初は「脱炭素」という大きな流れがありましたが、最近では化石燃料の重要性を再評価する動きも見られます。こうした世界的なエネルギー業界の変化を肌で感じられるのもヒューストンならではであり、海外駐在の面白さだと感じています。

――現地での主な仕事内容
ヒューストンには、本店のエネルギー事業本部付営業担当として赴任しています。本店ではLNG船の船舶管理業務を主に担当していましたが、こちらでは新規事業開発が中心となり、業務内容は大きく変わりました。具体的には、エネルギー製品の輸送案件に対する営業に加え、低炭素燃料の製造施設への出資、新技術を持つ現地スタートアップ企業への投資など、エネルギーの視点から、海上輸送にとどまらない新規事業の可能性を模索しています。

また、担当エリアは米国のみならず、北米・中南米全域にわたります。日々、上司とともに各地を飛び回りながら、新たな事業の芽を探しています。

ヒューストンに来てからは、石油や石炭、低炭素燃料など、自身のバックグラウンドであるLNG以外の分野についても、新たに知識を習得する必要がありました。赴任当初は苦労しましたが、今では、自社のエネルギー事業をより広く、より深く理解するための貴重な経験になっていると感じています。

チリのアタカマ砂漠にて、太陽光から低炭素燃料を作るプロジェクトの現場を視察

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バンクーバーにて、自動車専用船にLNG(液化天然ガス)を燃料として補給する様子を視察

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――コミュニケーションについて
ヒューストンのオフィスでは、私を含め日本人駐在員が3名、インド人1名、米国人1名という体制で、英語と日本語を使い分けながら業務に当たっています。多国籍なメンバーと円滑に業務を進めるうえで、業務・プライベートの双方において、意思疎通に支障がない程度の英語力は不可欠だと思います。とはいえ、最近は様々な翻訳ツールもあるため、完璧な英語を話せることよりも積極的に話しかけて伝えようとする姿勢の方が大事だと感じます。

信頼関係の積み重ねが業務達成の鍵に

――日々の業務で大切にしていること
基本的なことですが、顧客との面談に向けた準備には特に時間を割いています。米国において、日本郵船の知名度はそれほど高くありません。“看板”で勝負できないからこそ、相手にとって「自分と話すことのメリット」や「提供できる価値」を明確に示すことが、信頼を勝ち取るうえで大きなポイントだと考えています。

また、ネット上でさまざまな情報が取得できてしまう今だからこそ、できる限り現地に足を運び、人と会い、現物を見ることで得た、“生”の情報を本店に発信できるよう努めています。

オフィスメンバーおすすめのお店でランチ

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――仕事において達成感を味わえる瞬間
事業の芽となる案件が、軌道に乗り始めたときです。直近では、日本郵船とENEOS、さらに米国企業2社を加えた計4社による、船舶向け低炭素メタノール燃料の供給およびサプライチェーン構築に向けた共同検討がスタートしました。まだ共同検討の段階ではありますが、私たちがヒューストンで取り組んできたことが実を結んだ、一つの成果だと感じています。事業開発は先の長い取り組みであるだけに、短期的にはゴールが見えにくく、忍耐力も必要です。ただ、その分達成感は大きいため、引き続きチャレンジしていきたいです。

【北米での船舶向けメタノール燃料の供給網構築に向けた共同検討を開始】
https://www.nyk.com/news/2025/20251212_01.html

――海外駐在に必要な能力
自分の殻に閉じこもることなく、とにかく何事にも飛び込んで挑戦してみる姿勢、「チャレンジ精神」が必要だと思います。これを常に意識していれば、人間関係においても、海外での暮らしにおいても、充実した駐在生活が送れるのではないでしょうか。

駐在経験を糧に多方面に挑戦していきたい

――生活してみて分かった海外駐在の魅力
ヒューストンは全米第4位の都市です。“Everything is big in Texas”という言葉のとおり、車、建物、食べ物など、あらゆるもののスケールが大きく、赴任当初圧倒されました。一方で、大都市でありながら、どこか田舎的な雰囲気もあり、人々がとてもフレンドリーな点も印象的です。

エレベーターやスーパーのレジ待ちなど、面識がなくても自然に会話が生まれることも珍しくありません。移民が多く、外国人に対して寛容な土地柄で、英語のあまり得意でない私の妻に対しても、ジェスチャーを交えながら丁寧にコミュニケーションを取ろうとしてくれます。人の温かさに加え、米南部特有のカウボーイ文化や、広大な自然など、魅力満載のヒューストンを満喫しています。

米国・ヒューストンで働く藤森文也

――駐在生活で得たつながり
仕事だけでなく、プライベートを含めた人とのつながりを得ることもできました。現在、オフィスから車で15分ほどのエリアに住んでいますが、日本人はさほど多くなく、かえって日本人同士が顔見知りになりやすい環境です。

親しくなった友人と休日に旅行に出かけたり、自宅に招いてバーベキューを楽しんだりといった交流が、こちらに来てから増えました。意図せず同じエネルギー業界の方と繋がることも多く、「いつか一緒に仕事ができたら」と話すこともあります。こうした出会いは、おそらく駐在しなければ得られなかったものだと思うので、今後もこうした縁を大切にしていきたいです。

また、オフィスの人数が少ないからこそ、家族ぐるみの付き合いがあり、色々な場面で助けて頂いています。

――今後チャレンジしたいこと
かねてよりコンテナ船のビジネスに強い関心があり、将来的にONE(オーシャン・ネットワーク・エクスプレス)への出向勤務にも挑戦してみたいと考えています。一方で、営業職だけでなく、財務や企画といったコーポレート部門の仕事に携わり、数字や経営の視点を含めた多角的な知見を身に付けて、会社により幅広く貢献していきたいです。また、チャンスがあれば、英語圏以外の国にも駐在して経験を積みたいと思っています。

――就職活動中の皆さんへメッセージ
日本郵船は、世界中にネットワークを持ち、ビジネスを展開している会社です。周りの社員を見ていても、実際に海外に行けるチャンスは多いと感じています。私自身、「グローバルな仕事がしたい」「生活を支えるインフラに携わりたい」という思いから日本郵船を選びましたが、入社して9年が経った今も、その認識は間違っていなかったと思います。

海外での新規事業開発という大舞台での経験、そこで得た人とのつながりや価値観の広がりは、海外駐在が単なるキャリアの一部ではなく、人生を豊かにする経験であることを教えてくれます。海外で働くことを本気で目指す人にとって、日本郵船は確かな選択肢となるはずです。