2025年10月29日
オマーンのDuqm港開発と連携強化についての覚書をPort of Duqm Company社と締結
当社は、10月27日にオマーンで開催されたDuqm Economic Forum 2025(注1)において同国の港湾管理やターミナル運営等を行うPort of Duqm Company SAOC(以下「PODC社」)と同国のDuqm(ドゥクム)港開発の協業と連携強化に係る包括的な覚書(MOU)を締結しました。
当社は中東を重要地域のひとつと位置付け、2022年4月1日に「中東地域代表」(デュバイ)を新設し、中東地域における当社グループの地域戦略の深度化とより機動的な事業展開を図っています。
オマーンは天然ガス資源を有する一方、再生可能エネルギーとしてのポテンシャルが高く価格競争力のあるグリーン水素が製造可能であると見込まれています。その中でもドゥクム港はホルムズ海峡の外側に位置し、中東、インド、東アフリカにも地理的に近いという優位性を有するとともに、ドゥクム経済特区機構(Special Economic Zone at Duqm:SEZAD)としてインフラ整備、重・軽工業誘致のための各種インセンティブが設定されています。還元鉄(グリーンスチール)(注2)製造プロジェクトが進んでいるほか、風力や太陽光をはじめとする豊富な再生可能エネルギーを利用した水素・アンモニアの製造および輸出ハブとなることが期待されています。
当社は今回のMOU締結を通じて、グリーンスチール産業の支援、中東域内の完成車輸送に対する新たなソリューション開発、グリーンエネルギーの製造・輸送といった多角的分野において、PODC社と具体的な協議を進めていきます。
日本郵船株式会社 バルク・エネルギー事業統轄グループ 大塚裕二グループ長
このたびPODC社とのMOUを締結し、これまでの対話を経て協力関係が新たな段階へと進展したことを大変うれしく思います。
今後は、ドゥクム港の地理的優位性や再生可能エネルギーを活用した水素アンモニア分野での可能性を踏まえ、PODC社と共により良いサプライチェーンの構築に向けた具体的な協議を進めていきます。
Port of Duqm Company SAOC Reggy Vermeulen CEO
日本郵船は世界的に高い評価を受けている海運会社のひとつであり、協業できることを非常に誇りに思っています。今回のMOU締結は、NYKとPODCのビジョンが強く一致していることの証であり、ドゥクム港を地域の戦略的な海運拠点として確立し、新たな成長機会を切り拓くという共通の約束を反映しています。
この協業が、ドゥクム港およびオマーン国の発展と経済成長に大きく貢献するものと確信しています。
MOU締結式の様子
左から、
日本郵船バルク・エネルギー事業統轄グループ長 大塚裕二、PODC CEO Reggy Vermeulen
締結式後の集合写真
左から5人目、日本郵船バルク・エネルギー事業統轄グループ長 大塚裕二
左から6人目、駐オマーン日本国大使館特命全権大使 芹澤清
左から7人目、PODC CEO Reggy Vermeulen
左から8人目、PODC Chief Commercial Officer Stehlin Frederic
(注1)Duqm Economic Forum 2025
オマーンのドゥクム経済特区で開催される国際的な経済イベントで、政府、産業界、投資家、学術界の代表者が集まり、持続可能な成長と革新について議論する場。前回は2023年に開催。
(注2)還元鉄
製鉄プロセスでコークス(炭素)を必要としない鉄鋼。鉄鉱石から酸素を除去する過程で使用されるコークスの代わりに水素を用いるため、二酸化炭素を排出しない。自然環境に優しいグリーンスチールと呼ばれ注目されている。
生産地(天然ガスなどのエネルギー資源が豊富に存在する地域)から需要地へ、さまざまな形態の還元鉄の海上輸送が活発化することが予想されている。船上では輸送中における過熱、火災に加え爆発のリスクに対して適切な貨物管理が求められる一方で、船員の労働環境向上に効果的な貨物管理手法も求められており、当社は2024年11月8日、「ばら積み船の還元鉄輸送の安全性と品質向上に関する技術」として特許申請中。
以上
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