2025年12月03日
世界初、パイプ内可視化デバラスト研修設備をフィリピンに新設
内部構造の理解を深めトラブル削減と荷役効率向上へ
当社はこのほど、フィリピン・マニラ近郊に当社が保有する船員研修施設のNYK-Fil Maritime E-Training Inc.(以下、「NETI」)(注1)に、船員のデバラスト作業(貨物の積み込み中に本船のバランスを保つために行う排水操作)の習熟度向上を目的として、透明パイプを使用したデバラスト研修設備を新設し、11月26日のNETI開所25周年記念式典で披露しました。スケルトン構造のデバラスト研修設備は世界初(当社調べ)で、配管内とタンク底の水の流れを可視化することで、受講者の構造理解と作業の習熟度を高めてトラブルを減らし、輸送品質の向上を目指します。
研修施設内の様子
タンク内部のパイプも可視化
デバラスト作業とは、船体バランスを保つためにタンク内に保持しているバラスト水を貨物の積み込みに合わせて排出していく作業です。積荷役において、デバラスト作業をいかに効率よく実施するかは、貨物の積載量の向上、荷役の遅延防止のために重要です。デバラスト作業には高度な知識と技量が求められますが、再現性の高い研修施設の不足などによって船員の習熟度は現場でのOJT(On the Job Training)に依存しており、陸上での効果的な研修の実施が難しい状況でした。そこで本設備には透明パイプを採用し、流体の動きを可視化することで、操作の影響を直感的に学べる構造にしました。また、タンクを傾斜させる機構や、バルブや配管、圧力計、電流計などの配置を工夫し、実際の船上に近い状態を再現しています。これにより、コンピューターシミュレーション等では再現できない実際の運用に即した新たな研修環境を提供し、デバラスト作業のトラブル防止を目指します。さらに、NETI講師による、ポンプが水を吸い上げる原理やバルブの特性などについての講義や、頻出するエア噛み(注2)などのトラブルシューティング学習により、受講者の理解度向上が見込めます。
(注1)当社が出資するフィリピン人船員配乗会社NYK-FIL Shipmanagement,Inc.の100%子会社。2000年にフィリピンで設立され、当社グループ運航船に配乗される船員に対する訓練を実施している。
(注2)バラスト排水の際、配管内に空気が混入しポンプがバラスト水を吸引できなくなる現象。
今回の取り組みが特に貢献するSDGsの目標
以上
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