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創業138周年を記念し社長があいさつ

日本郵船グループ一体となって、ゴールを目指す

10月2日、本店15階ホールで第138回創業記念式典が開催され、曽我社長から当社グループ社員に向けてあいさつがありました。

本日皆さんと共に、創業138周年を迎えることができることを大変うれしく思います。全ての日本郵船グループ社員の日ごろからの頑張りに感謝するとともに、これまでの歴史の中でいくつもの困難に直面しながらも必死に乗り越えてきた多くの先輩方のご尽力に心から敬意を表します。

さて、4月に社長に就任してはや6カ月が経ちましたが、創業記念日の節目に当たり幾つかお話しさせていただきます。

1.中期経営計画

まず中期経営計画についてお話しします。今、私たちは3月に発表した新中期経営計画(以下、新中計) を軸に企業活動を展開しています。新中計の重要なポイントは、ESG経営を土台として、中核事業を深化させ、そこで得た資金を源にこれからの新規事業を発展させ、企業価値のさらなる向上を目指すことです。その支えとして、一人一人の社員が個性と能力を生き生きと発揮できる環境を整えるとともに、イノベーティブな発想とデジタルな業務手順を確立し、また社会の要請でもあるエネルギー転換に対して船会社・物流会社としての貢献をしっかりと行っていく、ということです。まだスタートして間もない状況ですが、さまざまなプロジェクトも動き出しています。日ごろの業務遂行にあたっては、この新中計の行動指針を常に念頭においてください。

2.ESG戦略

さて、ESG経営を実装段階に進めるということで、この4月に新たに発足したESG戦略本部ですが、これまでのESGの浸透活動をさらに深化させ、私たちにとってのマテリアリティ (安全・環境・人材)の再定義や人権に対する取り組みを明示化するとともに、本気かつ待ったなしで進める脱炭素戦略の詳細を構築しています。ESG戦略本部においては、それらを取り込んだ「NYKグループ ESGストーリー2023」の11月の発表に向けて引き続き尽力するとともに、来年から施行されるEU-ETS制度への対応の整理にさらに奮迅してもらいたいと思います。

3.技術

次に技術本部ですが、長い歴史の中で経営の骨格となってきた「安全」と「技術力」は今も私たちの中心になくてはなりません。「物流を止めない」というコミットメントにおいて、「安全」はその土台です。今や輸送の安全、それに携わる人々の安全、社会の安全のみならず、システム環境の安全も極めて重要です。またエネルギー転換や脱炭素に向けた取り組みに「技術力」はますます重要になっています。新中計でも記した「共創」という姿勢を念頭に、オープンイノベーション的な取り組みや、私たちの技術を他のステークホルダーにも展開するといったことをどんどん進めていってもらいたいと思います。

4.ライナー&ロジスティクス

次にライナー&ロジスティクス事業統轄本部です。定期船事業におけるOcean Network Express社(ONE社)は、昨年・一昨年の2年にわたり予想を遥かに超える好業績を上げ、コンテナ船専業会社としてその土台を築くに至っています。もちろんコロナ禍という特殊事情があったにせよ、発足5年でここまでこられたのも、ONE社への出向者を含む関係諸氏の多大なる努力のたまものと、敬意を表したいと思います。一方、財務体質が大きく改善したことに加え、コンテナ船の事業環境も変わってきている点など、その経営は新しいフェーズに入っています。グローバル企業としての組織やガバナンスの強化、具体的な経営計画の立案と実行にしっかりと取り組んでもらいたいと思います。曳船を含む港湾事業や内航・近海輸送では、「物流の2024年問題」で変わり得る日本の物流への適切な対応をお願いしたいと思います。
物流事業の郵船ロジスティクス(株)は、新中計上でも重要な位置づけにあり、日本郵船グループネットワークの核としての役割を担っています。さらなる成長に向けた体制の整備、営業力を支える基盤の強化を加速してもらいたいと思います。
航空運送事業では、日本貨物航空(株)(NCA)の全株式 をANAホールディングス(株) に譲渡することを発表し、NCA社員の皆さんには大変な心労をお掛けしました。不安を少しでも軽減するような体制づくりとともに、郵船ロジスティクスでの航空貨物の集荷などを通じて、間接的とはなりますが、譲渡後もしっかり応援していく所存です。

5.自動車事業本部

次に自動車事業本部です。半導体を含む部品供給の問題も沈静化しつつある中、北米を中心として好景気が継続し、輸送需要はますます旺盛である一方、幾つかの主要港での混雑も重なり、船腹の手当てに今なお苦労している状況と理解しています。他方、他社に先行して就航させているLNG燃料自動車専用船も既に6隻となり、ようやくお客さまからも環境対応への対価に理解を得つつある点、そのたゆまぬ営業努力を評価しています。自動車物流事業も含め、先行する環境対応策を引き続き展開しながら、業界での差別化を図っていってほしいと思います。

6.エネルギー

エネルギー事業本部においては、ロシア・ウクライナ問題によって発生したロシア船社とのJV(ジョイントベンチャー)の対応は大変難しいものでしたが、何とか一段落させ得た点、大変な苦労だったと思います。今後も状況を注視し、引き続き法令順守の姿勢で取り組む必要があります。またLNG・LPG船の需要増大に対しても、船台の確保など、長期的視点で取り組んでいかなければなりません。これまでの経験・知見をフルに活用して頑張ってもらいたいと思います。一方、社会が求めるエネルギー転換、これに対する日本郵船グループの最前線として引き続き活動を深めてもらいたいと思います。洋上風力関連事業、アンモニアや水素といった新エネルギー、CO2の輸送事業、わが社の企業価値向上の種がここにあります。

7.ドライバルク

ドライバルク事業本部においては、これまで一生懸命取り組んできた四つの戦略の遂行が功を奏し、過去に比べて著しく市況耐性が強化されていると評価しています。中国での経済問題は、あらゆる素材の輸送に影響を与える点、極めて心配でありますが、これまで同様徹底的なエクスポージャー管理を実行して、収益の安定化に取り組んでもらいたいと思います。
またNYKバルク・プロジェクト(株)も大活躍でしたが、今後の中型・小型船の手当てについて、船価の行方、新造発注のタイミングなど、遅れを取らぬよう、注意深く見ていってほしいと思います。
以前から申し上げている通り、既存素材の輸送は、自らのエネルギー転換に努力しているお客さまの計画を支えるもの、ひいては社会全体のエネルギー転換のために必要な活動であると認識し、胸を張って行っていきましょう。

8.総務

総務本部においては、人事部門を中心に国内外を問わず社員一人一人が個性を生かし生き生きと働ける体制・環境づくりに着手しています。また、新卒採用の在り方の見直し、キャリア採用の拡大、女性管理職の研修機会の増大、男性社員への啓発研修 の実施など、D&Iの深化に向けた取り組みを加速しています。また総務部門においても、3年後の横浜タワービルへの本社仮移転を機会として、働きやすい職場環境をつくるためのいろいろな検討を行っています。私自身、社員の満足度が会社全体の生産性を上げるという考え方は正しいと思っています。ただ、満足度というのは人間的な感情の部分も入るため、人事部門や総務部門のさまざまな取り組みも試行錯誤となるかもしれませんが、怯(ひる)まず前に進んでいってほしいと思いますし、皆さんの理解も必要だと思います。他方、コンプライアンスの維持という点ではまだまだやることがあります。 われわれマネジメントも含めて、コンプライアンスの強化を工夫していきます。

9.経営企画

最後に経営企画本部です。企画部門では増大するさまざまな投資案件に対して、実務レベルから経営会議、取締役会に至るまで、透明性のある議論と決議が図られるよう体制の整備と運営を行っており、業務がどんどん増えているのが実態ですが、どれも手を抜かずしっかりやってくれている点、その労を多とします。今後は新中計の進捗(しんちょく)管理においても頑張ってもらいたいと思います。
主計部門が先導役となって進めている「肉まんプロジェクト」は、事業部門・管理部門の多くに関連するコーポレート・インフラの再整備であり、今後の働き方改革に通じる重要なものです。大変な作業ですが、スケジュール通り完遂してほしいと思います。
IR部門では、昨今、株主や投資家の声は企業経営においても重要度を増しており、私自身もそういった声を聞き、直接お答えする機会を増やしています。時には厳しい声もありますが、それを糧として、会社のスポークスマンとしてわが社のファン作りに尽力してほしいと思います。
客船部門は、正式に「飛鳥III」と名付けた新造船がいよいよ2025年に就航します。2隻体制を開始するための準備は膨大ですが、郵船クルーズ(株)を中心に、本社の関連部署は徹底的な応援体制を組んで予定通りの就航につなげてください。関与する一人一人が自分ゴトとして進めることが肝要です。

最後にグループ経営について一言申し上げます。新中計で目指しているものは日本郵船本体のみで達成できるものではありません。グループ各社と一緒に一体感を持って「共創 」するものです。経営企画本部のグループ経営推進グループや、技術本部、そして各事業本部は、それぞれが管掌しているグループ各社の声をしっかりと聴き、一緒に問題解決を図りゴールに辿り着く。そういう形で進めてもらいたいと思います。グループ各社の皆さんも決して忖度(そんたく)することなく、言いたいことを声に出してもらえればと思います。
以上、創業記念日のあいさつとさせていただきます。

以上

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