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絶滅の危機にあるアカウミガメの生態調査プログラムを支援

豊かな海を次世代へ

当社は認定特定非営利活動法人アースウォッチ・ジャパン(注1)と協働し、7月9~11日と13~15日の2回、和歌山県みなべ町で「紀州みなべのアカウミガメ(注2)調査」プログラムを実施しました。

当社グループ社員を含む延べ23名のボランティアが同プログラムに参加し、日本ウミガメ協議会の松沢慶将(まつざわよしまさ)主任研究者による講義や調査対象の千里浜のビーチクリーニングを日中に行いました。夜間は、松沢先生や地元の市民団体みなべウミガメ研究班の指導の下、産卵のため上陸したアカウミガメの個体識別標識(タグ)の確認や装着の補佐、甲羅の長さ・幅の計測などを行いました。

ボランティアの参加者からは「無線のやり取りや甲羅のサイズ測定など、想像以上に活動に携わることができて充実した3日間となった」「机上の空論ではなく現地に行くこと、体験することは環境問題を身近な問題として捉えられるようになると改めて思った」などの感想が聞かれました。

みなべ町は、絶滅危惧種に分類されるアカウミガメの、本州最大の産卵地として知られている地域です。ウミガメは生涯にわたって広く大海を回遊し、産まれた砂浜に戻り産卵を行い、世代を繋ぐと言われています。世界を舞台に事業展開をしている当社は、「海への恩返し」という思いから本調査プログラムを2016年からサポートしています。

また、今回の調査期間に上陸したウミガメのうち2頭を「めい」「きい」と命名しました。特別にGPS送信機が装着されたこれら2頭の回遊経路は社内のポータルサイトで確認でき、より身近にウミガメを感じられる一助となっています。当社は今後も本活動を継続して支援し、絶滅危惧種であるアカウミガメの生態解明と保全に貢献します。

松沢主任研究者のコメント

めいちゃんは2015年に千里浜で識別されて以来、2017年と2020年に千里浜に回帰したことがタグやGPS送信機によりわかっています。このように回帰する個体と、そうでない個体の回遊パターンの違いを蓄積してくことにより、安全な回廊と危険な回廊がわかっていくのではないかと考えています。一方のきいちゃんは高知県の室戸岬の定置網に入網したアカウミガメで、9年前に千里浜で産卵したことがありました。今後また千里浜へ産卵のための回帰が期待されるので、今回GPS送信機を装着して放流しました。きいちゃんが今後どのような経路をたどり、どこへ上陸するのか見守るのはとても有意義なことだと考えています。

アースウォッチ・ジャパンのコメント

ボランティアの皆さんが、この活動を通じて、自然環境と生物多様性への理解を深め、ご自身の体験を一人でも多くの方に伝えていっていただければと思います

左:めい、右:きい
「めい」はみなべ町の名産品で中国が原産地である梅(うめ)の中国語読み、「きい」はしばらく滞在していた紀伊水道に由来して名付けられました。

(注1)認定特定非営利活動法人アースウォッチ・ジャパン 
アースウォッチは、1971年にアメリカ・ボストンで設立された生物の多様性と生息地などの野外調査を「資金」と「人手」の両面で支援する国際環境NGO。派遣された市民ボランティアは、一流の科学者の手ほどきを受けながら、実証的な調査活動をしている。アースウォッチ・ジャパンは、1993年にこの活動を日本に広めるために発足。
https://www.earthwatch.jp/

(注2)アカウミガメ
産卵地である海岸の開発や侵食、漁業による混獲などの影響により生息数が減少し、国際自然保護連合(IUCN)が作成するレッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物のリスト)で絶滅危惧II類に指定されている。

今回の取り組みが特に貢献するSDGsの目標

以上

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