• プレスリリース

スウェーデンの海洋港湾資材メーカーと新型係留システムの国内普及に向けて協業

船舶の安全な係留に貢献

当社および当社グループの株式会社日本海洋科学は、スウェーデンのポリマーメーカーであるTrelleborg AB(トレルボルグ社)傘下の海洋港湾資材メーカーTrelleborg Marine Systems(トレルボルグ・マリンシステムズ社)と、同社が開発した港でのより安全な船舶係留システム「DynaMoor」(ダイナムーア)を、ドライバルク船の利用港を中心とした日本国内の各港に普及させるためのコンサルティング契約を締結しました。

船舶は、船側から出される係留索と岸壁に設置されたビットをつなぐことで港に係留されますが、係留中も船体は完全に静止することはなく、海面のうねりや長周期波(注)により動揺が生じます。また、岸壁の側面には船体との接触による損傷を防ぐためにフェンダーと呼ばれるクッション材が設置されており、係留索とフェンダーがバネとなって船体の動揺が増幅すると、荷役の中断や船舶の港外退避により港の稼働率が低下したり、係留索への荷重負荷が高まって破断するなどの大きな事故発生の危険性が高まります。

動揺の抑制には係留索にかかる張力を一定に保つことが有効だと考えられてきましたが、船舶側で張力を調節することが難しく、陸側での調節には大がかりな設備の導入が必要になることから日本国内では解決が進んでいませんでした。さらに近年、船舶の大型化が進み港の安全性や稼働率の一層の向上が望まれる中、船舶の動揺抑制は喫緊の課題となっていました。

この課題の解決のため、当社と日本海洋科学は、トレルボルグ・マリンシステムズ社とコンサルティング契約を締結し、同社が開発した荷重調整型係留システム「DynaMoor」の日本国内での普及に取り組みます。「DynaMoor」は、岸壁に取り付けて船舶の係留索を接続し、係留索の張力を電子制御式の油圧ダンパーで調節して一定に保つシステムです。小さな専有面積で設置することができ、荷役の安全性の向上や港の稼働率の向上、停泊中の船舶を含めたサプライチェーン全体のGHG(温室効果ガス)排出量削減につながることが期待されます。

「DynaMoor」概要図

「DynaMoor」使用イメージ

今後、当社と日本海洋科学は、日本各地の港での船体の動揺シミュレーションと「DynaMoor」を導入した場合の効果検証を行うとともに、港湾特性や船型、気象海象、操船技術等に関する知見と経験を生かした助言を行い、トレルボルグ・マリンシステムズ社と協力してドライバルク船の利用港を中心とした日本国内の各港への導入を働きかけます。

当社グループは、ESGの経営戦略への統合を更に加速させることを掲げた、「NYKグループ ESGストーリー」を2021年2月3日に発表し、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献する活動を進めています。本コンサルティング契約の締結は、船舶の海上航行時だけでなく、港での着岸時の安全性も高めることを目指す、サプライチェーン全体の社会課題解決に向けた活動の一環です。当社グループのESG経営を力強く推し進めるべく、「Sustainable Solution Provider」として新たな価値創造をしてまいります。

(注) 長周期波 
波周期が30~300秒程度と長い波のこと。長周期波は一見静穏に見えても周期が大型船の係留固有周期に近く、共振により船体動揺を引き起こす場合がある。

以上

掲載されている情報は、発表日現在のものです。
その後、予告なしに変更される場合がございますので、あらかじめご了承ください。