転換期を乗り越え、新しい時代を切り開こう
―第132回創業記念式典で社長があいさつ―

2017年10月2日

 当社の第132回創業記念式典が10月2日、東京都千代田区の本店15階ホールで開催され、社長の内藤忠顕は次のようにあいさつしました。

 当社は昨年10月に定期コンテナ船事業の統合を決断し、来年4月から新統合会社の運営開始を予定しています。この影響は多岐におよび、当社グループの大きな転換期になると考えています。本日は、主に定期コンテナ船事業の統合とその影響に焦点を当ててお話しします。

<定期コンテナ船事業統合の経緯>
 海上コンテナによる輸送は、港から港のみならず内陸のポイントからポイントまでの輸送を可能にし、冷凍貨物、バルク貨物も含めてすべての形態の貨物に対応できる極めて魅力的な輸送システムです。

 コンテナ輸送は1956年に始まった後、急速な成長を遂げ、現在の荷動き量は全世界で年間約1億5,000万TEUに達し、今後も成長が見込まれます。一方、成長の果実を求めて過当競争が繰り広げられ、各社は絶えず厳しい国際競争にさらされてきました。当社は、「IBIS」(最適経済運航プロジェクト)や「EAGLE」(コンテナ運用の最適化プロジェクト)などで着実に成果をあげてきたものの、運用スケールにおいては劣後にあったため、事業運営は厳しい状況にありました。

 事業統合は、運用スケール上、クリティカルマス(注)を確保し必要な競争力をつけることが主な目的です。また、事業パートナーとなる邦船2社は気心が知れており、現在同じアライアンスに属していることもあり、良いパートナーになると確信しています。新統合会社は3社のベストプラクティスを融合し、すべて一(いち)から創造していくことになります。これには大変な労力を必要としますので、まずは新統合会社を順調に船出させることが目下の最重要課題であり、その上で、安定的に利益を計上できる事業に育つことを期待しています。


<NYKグループへの影響>
 定期コンテナ船事業は、歴史的に中核事業としてグループ全体を支えてきました。現在、売上高約30%、従業員数約19%、運航隻数約13%がグループ全体に占める割合です。今回この巨大な事業部門が持分法適用会社となります。

 定期コンテナ船部門がこれまで担ってきた国際的な人材の育成機能、新しい商売の発掘や情報の収集機能、さらに顧客・ビジネスパートナー・各国政府当局との窓口機能などは、郵船本体の他の部門で担い、また、営業面では物流部門の拡充などを通じて積極的にグループの売上増加を図っていきたいと思います。

 これを受けて、世界各地で活動するグループ会社の統治体制を見直し、来年4月1日付で新組織に移行することにしました。
さらに、新統合会社が生き残りをかけて競争力強化に向けたベストプラクティス方式を採用する以上、国内ターミナル・曳船(えいせん)・内陸輸送・船舶管理など、定期コンテナ船事業に関わる事業体も、新しい時代で生き残っていくために、さらに研鑚し、より高い競争力を身に付ける必要があります。
 このように、定期コンテナ船事業統合により当社グループ全体が大きな転換期を迎えることになります。この大きな転換期を消極的に捉えるのではなく、好機と捉え積極的に次の発展・拡大を目指していきましょう。

<柔軟で迅速な事業運営>
 事業環境の変化は否応なくわれわれに襲い掛かります。今回の転換期を乗り越え、次の時代を生き抜くために、四囲の環境に合わせてグループ事業運営を伸縮自在に変化させるポートフォリオ経営に向かっていかねばなりません。
柔軟かつ迅速に対応するべく、先に述べたとおり、来年度からグループ経営体制を根幹から見直し、グループ全体で経営資源を有効活用できる体制に変革します。
 なお、本日は時間の制約もあり、他の事業分野や管理部門に対する具体的指針を示すことはできませんが、今期末をめどに策定を進めている新中期経営計画で改めてお伝えするつもりです。

<結び>
 当社グループの132年の歴史の根幹には脈々と受け継がれてきたDNAがあり、それはグループ・バリュー「誠意、創意、熱意(3 I's)」という形で今も息づいています。デジタライゼーションなどの激しい変化への対応が求められる中、われわれが受け継いだ基本的な考え方を忘れずに、「きらり技術力」のテーマのもと創意工夫で差別化を進め、競合他社の半歩でも先を行くことで、自ら新しい時代を切り開いていきましょう。

(注)クリティカルマス:一定以上の規模があると有利になる臨界点。


以上
 
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