1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 2012年
  4. More Than Shipping 2013のさらなる実践を!―アジアの成長が原動力
    2012年商事始め式で社長あいさつ
 
 

More Than Shipping 2013のさらなる実践を!―アジアの成長が原動力
2012年商事始め式で社長あいさつ

2012年1月4日

  2012年1月4日、東京都千代田区の本店15階ホールで商事始め式が開催され、当社社長の工藤泰三から次のメッセージがありました。

2011年の世界情勢
皆さん、明けましておめでとうございます。
日本にとって2011年は、とにかく天災に泣かされた年でした。東日本大震災による津波、福島第一原発事故の放射線問題は多くの人々に犠牲を強いるとともに、日本の産業界、とりわけ自動車産業を完全なまひ状態に追い込んでしまいました。その状態からやっと脱却できたのもつかの間、今度はタイの大洪水が、再度自動車産業に大打撃を与えています。幸い、12月以降徐々に生産が再開されていますが、一刻も早い正常化を願うばかりです。
 
一方、目を海外に転ずると、やはり世界中でさまざまな出来事が起こった年でした。ソマリアの海賊問題に加え、北アフリカ、中東のアラブ、イスラム諸国では、アラブの春と呼ばれた政変・動乱が多発して、いまだ不安定な状況が続き、石油価格高騰の一因となっています。
 
欧州では、通貨統合をしていながら財政運営は加盟各国任せという矛盾がついに表面化し、南欧諸国に端を発した財政危機が欧州全域に拡大しています。矛盾した財政運営体制は、本来あり得ない財政支出と過剰消費を誘発しました。その資金はドイツ、フランスを中心とした銀行により、高利回りの当該国債購入で賄われてきましたが、その状況が永続するはずもなく、今回の金融危機となったわけで、米国のリーマン・ショックを彷彿(ほうふつ)させるものがあります。米国はその後遺症ともいうべき消費低迷が続き、対応策としての財政出動が、債務上限引き上げや国債格下げをめぐる混乱を招き、成長軌道復帰に時間を要しています。従って、欧州の景気回復も相当時間がかかることを覚悟する必要があるでしょう。
 
アジアの着実な経済成長
欧米二大消費地の低迷は、アジアからのコンテナの荷動きが如実に示しています。最終的な数字はまだ公表されていませんが、11年の北米向けは夏場まで前年比プラスで推移したものの、それ以降前年割れが続き、通年では10年並みだったと推測されます。また欧州向けは夏場以降急ブレーキがかかり、前年比数%程度の伸びにとどまったと思われます。
 
悲観的な側面のみ述べましたが、海外で起きている最大の変化は、世界人口の大半が集中するアジアおよび新興国の着実な経済成長の持続ではないでしょうか。中国のGDPは11年も9.5%程度の高成長を維持したもようですし、今年も8%台後半から9%台の成長が見込まれています。インドも10年の10%を超える成長からは若干陰りが見えるものの、昨年、今年ともに7%台の成長が続きそうです。またASEAN5(※)も昨年に引き続き、5%台を堅持しそうです。欧米消費の長期低迷は輸出国側であるアジア諸国に多大な影響を与えることは否めませんが、それを大きく凌駕(りょうが)するアジアの消費拡大が、この力強い成長の原動力です。アジア諸国は製品輸出国、欧米は消費国という従来のパターンから、アジアが欧米に劣らない大消費国へ移行しつつあるという大きな変化が進行しているのです。中国での自動車販売台数は、今や米国や欧州を大きく上回り、11は1,900万台弱と推測されます。 
 
このアジアの急成長を支えるには、自国で不足する資源・食料の確保が不可欠であり、事実、昨年もこれら貨物の海上荷動き量は着実に増加し、今後もその傾向に変化はないでしょう。繰り返しとなりますが、世界人口の大半が集中するアジアで経済成長軌道が定着した今、アジアの一員である日本にとってこれほどのビジネスチャンスはないといえるわけです。
 ※ ASEAN5:インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア
 
“More Than Shipping 2013”で黒字復帰
昨年発表した新中期経営計画“More Than Shipping 2013”は、まさにこのような世界情勢に対応した戦略といえます。
 
まず一般貨物輸送ですが、欧米消費の低迷と超大型コンテナ船の過剰供給が予測される中、コンテナ船の自社建造は当分控え、船・スペースは不足すれば借りてくるというライトアセット化を推進し、下振れリスクを最小限にしながら事業存続を図るべきです。同時に、ライトアセットビジネスの典型であるフォワーダー事業を通じ、アジアを中心に急拡大する一般貨物物流の取り込みを急ぐべきであり、そのための旧郵船航空サービス株式会社と旧NYKロジスティックス株式会社の統合は、今年中国、インドネシアでの事業統合でほぼ完了します。いよいよその統合メリットである「お客さまへの(プラス)α(アルファ)サービスの提供」を通じた事業拡大戦略の真価が問われます。
 
先進国需要の低迷で、原油タンカー事業も供給過剰となり苦戦中ですが、石油需要自体はアジア諸国のおかげで確実に増加中です。当面、競争の激しいVLCCなどの下流部門では余剰船をフル活用し、将来性のあるアジアの顧客開拓を進める一方で、今後新規開発の中心となる海底油田に着目し、安全面・操船面で参入障壁の高い、上流部門であるシャトルタンカー、ドリルシップ、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)などのオフショア事業拡大へと既に大きく(かじを切りました。また今回の原発政策の見直しで脚光を浴びているLNG船事業は、安全運航も含め当社の得意科目ですので、さらなる事業拡大が期待できます。
 
鉄鉱石、石炭、ニッケル、木材などの資源、および食料関連需要も引き続きアジアで増加中ですが、当社の中国、インドのお客さまなどとの長期契約拡大戦略は、着実にその成果を上げています。現状ケープサイズ・バルカーを中心に若干船腹過剰で、長期契約船以外のマーケットは不安定な状況にありますが、新規発注は抑制されており、数年後には安定した事業環境に復帰するはずです。
 
“More Than Shipping 2013”を着実に実践・遂行していけば、12年度の黒字復帰は間違いありません。とにかく12年度の最重要課題は黒字復帰ですので、全社一丸となって頑張りましょう。
 
“More Than Shipping 2013”の基盤
ただし当面は船腹の需給ギャップが解消されないため、10年度のような急回復を想定すべきではありません。このことは、当然当社グループの財務基盤にも大きく影響していきます。コーポレート部門は、この難局を乗り越えるための短期的対策と、当社グループが持続的に成長していくための投資などの中長期対策とを、今まで以上にバランス良く柔軟に進めていかねばなりません。
 
現状のような苦しい時期に重大事故が発生すると、会社存亡の問題に直結してしまいます。より一層の安全・環境対応が、今こそ求められます。コスト削減ならびに環境問題の即効薬が減速航行であることは、繰り返し述べてきましたが、この実効を大きく左右するのは、海陸の運航関係者の人間力です。また、より優秀な船員確保はLNG船事業、オフショア事業拡大の観点からも欠かせません。当社グループはその一環として、07年からフィリピンに商船大学NYK-TDG Maritime Academyを開設し、優秀な船員の育成と確保に努めていますが、昨年9月に待望の第1期生116人が卒業し、彼らの今後の活躍が大いに期待されます。物流事業にとって他社との差別化は、ひとえに人間力次第と言っても過言ではなく、商船大学はその一例であり、社員の育成・教育をあらゆる分野でさらに充実させねばなりません。
 
昨年は企業のガバナンスやコンプライアンスがあらためて問われた年でした。当社グループにおいても、遺憾ながら、グループ会社が下請法の是正勧告を受ける事例がありました。独禁法については、国内外で年々厳格な適用と厳罰化が進んでおり、決して人ごとではありません。企業の持続的発展・存続は社会との共生があって初めて可能だということを、経営陣はもちろん、皆さん1人1人がしっかりと再認識する必要があります。なお、CSR活動の一環として、昨年は震災後に本業を生かした輸送支援や、当社グループ社員を岩手県陸前高田市にボランティアとして派遣しました。被災地の復興はまだまだであり、今年も支援活動を継続していきたいと考えています。
 
+αの戦略を支える人間力
今年“More Than Shipping 2013”は2年目を迎え、その取り組みに対する成果が問われることになりますが、前述のとおり方向性に間違いはありません。世界中を網羅するNYKグループのネットワークをフル活用し、「+α」をお客さまに提供することで、アジアを中心として拡大する物流を当社グループに取り込む戦略です。それを支えるものは、常にNYKグループ・バリュー「誠意・創意・熱意(Integrity、Innovation、Intensity)」、すなわち人間力です。営業部門、管理部門を問わず、自らが人間力を磨き、さらに世界中の人間力を結集できれば、より大きな成功を手にすることができるでしょう。
 
最後に、皆さんとご家族のますますのご多幸を祈念して、私のあいさつといたします。

以上

掲載されている情報は、発表日現在のものです。
その後、予告なしに変更される場合がございますので、あらかじめご了承ください。