環境フラッグシップ
エネルギー転換への取り組み【LNG燃料船・LNG燃料供給事業・ゼロエミッション燃料】
船舶では従来、重油が燃料として使用されてきましたが、液化天然ガス(LNG)へ燃料転換することで、重油使用時と比較してCO2排出量を約30%、NOx排出量を約80%、SOxは100%削減することが可能となります。当社グループは2011年10月に燃料グループ内に専任チーム(現 グリーンビジネスグループ グリーンビジネス第三チーム)を設置し、燃料転換に関する研究、技術開発を進め、世界に先駆けてLNG燃料船を実用化させてきました。2015年8月には国内初のLNG燃料タグボートが竣工、また、2016年9月には世界初のLNG燃料自動車専用船2隻が竣工したほか、2020年10月には大型のLNG燃料自動車専用船「SAKURA LEADER」が竣工しました。
2022年3月には二隻目の大型のLNG燃料自動車専用船が竣工し、2023年には世界初の大型のLNG燃料石炭専用船が、2024年には当社初のLNG燃料ケープサイズバルカーが竣工する予定です。

これらの船は、重油とともにLNGを燃料として使用出来るDuel Fuelエンジンを搭載しており、LNG燃料での運航時には環境規制ガスの排出低減が可能となります。LNG燃料船の建造と運航を通じてさらなる知見を蓄積し、更に多くの大型船や他船種へ展開していきます。

株式会社提供
また当社は、川崎汽船(株)、(株)JERA、豊田通商(株)と共同で日本初のLNG燃料供給船による供給・販売事業に取り組んでいます。2020年9月に「かぐや」と命名された日本初のLNG燃料供給船を実用化させ、2020年10月にはLNG燃料自動車専用船「SAKURA LEADER」に対し、日本初のShip-to-Ship方式(注1)による船舶向けLNG燃料供給を実施しました。九州・瀬戸内地域では九州電力(株)、伊藤忠エネクス(株)、西部ガス(株)と共に2024年春頃にLNG燃料供給事業を開始することに合意し、2022年3月にはLNG燃料供給船1隻の造船契約を三菱造船(株)と締結しました。
LNG燃料供給船は2024年3月に竣工予定で、西日本で稼働する初めてのLNG燃料供給船となる予定です。
当社は今後もLNG燃料市場を供給と需要の両面から発展させ、船舶燃料のLNG化を促進し環境負荷の低減に貢献します。
さらに当社はアンモニアや水素といったゼロエミッション燃料の実用化に向けた取り組みにも着手しており、海事産業だけでなく、エネルギー産業の脱炭素化に貢献します。(各取り組みの概要については関連リンクを参照下さい。)
- ※1「Ship-to-Ship」方式
岸壁・桟橋に係留中のLNG燃料船、もしくは錨泊中のLNG燃料船にLNG燃料供給船が接舷(横付け)してLNG燃料を供給する方法。



- 関連リンク:
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【LNG燃料ケープサイズバルカー】
【LNG燃料石炭専用船】
【LNG燃料自動車専用船】
- LNG燃料自動車専用船「PLUMERIA LEADER」竣工
- 12隻のLNG燃料自動車専用船を連続建造 国内造船会社2社と覚書締結、2025年度から順次竣工
- 招商局南京金陵船舶とLNG燃料自動車専用船4隻の建造契約を締結 最新技術を搭載し、更なるGHG削減を目指す
- 本邦初のLNG燃料自動車専用船 SAKURA LEADERが竣工
- 本邦初、LNG燃料の自動車専用船をSAKURA LEADERと命名
- 2隻目のLNG燃料自動車専用船を建造
- 本邦初、LNG燃料の自動車専用船を建造
【LNG燃料供給船(日本)】
- LNGバンカリング船 2024年に九州・瀬戸内地域で稼働
- 九州・瀬戸内地域における船舶向けLNG燃料供給事業に関する覚書締結
- 「かぐや」が日本初のShip-to-Ship方式によるLNG燃料供給を実施
- 国内初のLNGバンカリング船を「かぐや」と命名
- 日本初のLNGバンカリング船が進水
~2020年秋から中部地区でShip to Ship方式によるLNG燃料供給を開始~ - 国内初のLNG燃料供給船、2020年に中部地区で稼動
【欧州でのLNG燃料関連事業】
- 2隻目のLNG二元燃料シャトルタンカーが竣工
- 世界初、バッテリーハイブリッドLNG燃料自動車専用船が竣工
- 世界初、LNG燃料の自動車専用船「AUTO ECO」が竣工—優れた環境性能と耐氷性を持つUECCの1番船—
【船舶のゼロエミッション化への取り組み】
【パートナーシップ】
- インドネシア国営プルタミナ社の海運子会社への出資契約・戦略的パートナーシップ契約締結を完了
- 銅製品 海上輸送の脱炭素化へCODELCOとNYKバルク・プロジェクトが共同検討
- 脱炭素に向けBHPと日本郵船が戦略的パートナーシップを締結
- 脱炭素に向けbp社と日本郵船が戦略的パートナーシップを締結
【アンモニア】
- ゼロエミッション船への「ネクストブリッジソリューション」 アンモニアReady LNG燃料船が実際の設計へ
- 燃料アンモニア輸送に向けたJERAとの協業覚書を締結
- アンモニア燃料供給船の基本設計承認(AiP)を取得
- アンモニア燃料アンモニア輸送船の 基本設計承認(AiP)を取得
- 世界初となる A-FSRB(浮体式アンモニア貯蔵再ガス化設備搭載バージ)の共同研究開発契約を締結
- アンモニア燃料タグボートの改造工事契約を締結
- アンモニア燃料タグボートの基本設計承認(AiP)を取得
- アンモニアReady LNG燃料船のコンセプト設計完了
- アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の社会実装に向けた実証事業を開始
- LNGからアンモニアへ燃料転換可能なネクストブリッジソリューション
- ヤラ・インターナショナル社と液化アンモニアガス運搬専用船の実用化検討に関する覚書を締結
- アンモニアの舶用燃料使用における安全性評価プロジェクトに参加
- アンモニア燃料タグボートの実用化に向けた共同研究開発を開始
- GHG削減に向けた海上輸送インフラに係る共同研究開発を開始
【水素】
- 製油所で脱炭素化を目指す水素サプライチェーン実証実験に、組合がMCHをブルネイから輸送・供給
- 横浜市と高出力燃料電池搭載船(水素FC船)実証事業に関する包括連携協定書を締結
- 高出力燃料電池搭載船の実用化に向けた実証事業を開始
- 世界初、水素を輸送する国際実証試験を本格開始
【CO2回収・輸送・貯留】
- 三菱造船と日本郵船が大型LCO2船の基本設計承認(AiP)を船級協会から取得
- 液化CO2の海上輸送用貨物タンクシステムが 船級認証を取得
- 日本郵船とノルウェー・Knutsen Groupが 液化CO2輸送・貯留事業の新会社設立
- 三菱造船と日本郵船がCO2輸送事業の共同開発に合意
【バイオ燃料】
- 船舶用バイオ燃料のデータ収集・分析プロジェクトに参画
- Neste社製リニューアブルディーゼルを使用、日本初となる船舶におけるバイオ燃料の専焼利用を実施
- 日本初 Ship-to-Ship方式によるタグボートへのバイオ燃料供給・試験航行を実施
- 4回目となるバイオ燃料での試験航行に成功
- インド洋にて3回目のバイオ燃料での試験航行を実施
- シンガポール港にてバイオ燃料を補油 インド洋での試験航行に成功し、脱炭素化社会への移行に前進
【メタノール】
【メタノール燃料ケミカルタンカー】
- NBAsia保有のメタノール船2隻がシンガポール海事港湾庁よりGreen Ship Certificate Awardを受賞
- 3隻目のメタノール二元燃料エンジン搭載船が竣工
- メタノールを燃料とするケミカルタンカーが竣工
- メタノールを燃料とするケミカルタンカーの長期傭船契約を締結
【LPG燃料大型LPG・アンモニア運搬船】
【LPG燃料VLGC】
【社外活動】
- SIBCON 2022で次世代燃料に関するパネルディスカッションへ登壇
- 「第2回燃料アンモニア国際会議」と「ICEF2022」で登壇
- 英国・グラスゴーで開催の「COP26」内イベントで発信
- 第1回燃料アンモニア国際会議に参加
- 海運の脱炭素化に向けた各国政府への行動喚起提言に賛同
- 船舶用燃料の脱炭素化に向けた国際的な評価プロジェクトに参加
- Hydrogen Council(水素協議会)へ海運会社として初の参画
- 「The Maersk Mc-Kinney Moller Center for Zero Carbon Shipping」に参画
- 企業連合「Getting to Zero Coalition」に参加
国内初のLNG燃料船【魁】
2015年8月、当社が建造を進めていた、LNG(液化天然ガス)を燃料として使用可能なLNG燃料タグボート【魁】(総トン数272トン)が当社グループ会社の京浜ドック株式会社追浜工場にて竣工しました。日本初のLNG燃料船となる本船は、船舶の燃料としてのLNGの有効性を検証し、LNG燃料という新たな事業分野を切りひらくフラッグシップとして期待されています。本船は当社から(株)ウィングマリタイムサービス(当時、現(株)新日本海洋社)に用船され、主に横浜・川崎港での作業に従事しています。本船は重油とLNGを燃料として使用できるDual Fuelエンジンを搭載し、LNGを使用する場合、重油使用時と比較して二酸化炭素(CO2)量を約30%、窒素酸化物(NOx)を約80%、硫黄酸化物(SOx)を約100%、それぞれ削減することが可能です。本船に採用されたLNG受入システム、LNG気化システムに関しては3件の特許を出願しています。
LNG供給に際しては、供給者である東京ガス株式会社と共に、関係法令への対応、及び船舶への安全かつ効率的な供給手法を確立しており、「Truck to Ship」方式※2により横浜市のふ頭で実施します。
また本船は、2016年5月に一般社団法人日本物流団体連合会から、「物流環境負荷軽減技術開発賞」を京浜ドック(株)、(株)ウィングマリタイムサービス(当時、現(株)新日本海洋社)とともに受賞しました。さらに公益財団法人日本船舶海洋工学会が受賞する「シップ・オブ・ザ・イヤー2015」の技術特別賞を受賞しました。
また、2019年5月には北九州にて九州・瀬戸内地区での初のtruck-to-shipでのLNG燃料供給の実証実験に参加したほか、2020年1月には横浜にて通算100回目のLNG燃料供給を達成しました。


- ※2「Truck to Ship」方式
船舶へのLNG供給手法の一つ。タンクローリーよりフレキシブルホースを用い、船舶へLNGを供給する。