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第125回創業記念式典あいさつ

2010年10月4日

 皆さん、おはようございます。125回目の創業記念式典を迎えるに当たり、一言あいさついたします。 

 2008年秋のリーマン・ブラザーズ社の経営破たんを引き金とする金融危機の影響で、NYKグループ始まって以来の巨額な赤字計上を強いられた昨年度から一転、上期を好業績で終えることが確実視される今日、5四半世紀といえる125周年の創業記念を皆さんとお祝いできることを心から喜んでいます。  

 この業績の急回復は緊急構造改革「宜候プロジェクト」完遂に向けた皆さんの不断の努力のたまものであり、その努力に対して、あらためて敬意を表します。  

 部門別の回復傾向を見ると、まず定期船事業の好転が予想をはるかに超えたものでした。 あまりに高騰した燃料油価格と貨物量激減のため、ほとんどのコンテナ船オペレーターが減速に加え、係船する以外には対応策がないという状況にまで追い込まれました。しかし、年初から一転、結果として今度は荷動きが予想以上に急回復しました。 

 他方、こうした動きに懐疑的だった海運会社はスペース拡大に慎重な姿勢を崩さなかったため、需給が一挙に逼迫(ひっぱく)し、運賃がリーマン・ショック以前のレベルにまで急激に回復し、定期船事業の収支が改善されたのです。 

 しかしながら、これで定期船事業が完全に持続可能な事業モデルに変身したとは到底言える状況にはありません。荷動き回復以上に船腹投入を模索するオペレーターが早速現れ始める一方、欧米の荷動き回復の足取りが最近になって予想以上に重いことも懸念材料となっています。いずれにしても定期船事業が持続可能な事業モデルに変身可能か否かを見極める第一歩は、次の閑散期に全オペレーターが自発的に、再度、荷動きに合わせた係船を実施するか否かでしょう。ただ問題は、仮に次回は全オペレーターが係船を実施したとしても、それが本当に永続的に期待できるのかという点です。われわれは市場の状況だけに頼り、巨額投資が必要でありながら差別化が困難という定期船事業、航空運送事業を単純に拡大するつもりはありません。これらアセット型の事業と同時に、ライトアセット型の事業であるNVOCC、倉庫、通関、トラック配送などのフォワーディング事業とを併存させ、消費財、部品などを対象とする一般貨物輸送事業の両輪として、相互に補完、あるいは相乗効果を上げつつ、全体的に拡大していくという戦略を変更すべきではありません。

 さて定期船事業同様に業績が急回復しているのが、航空運送事業です。ただこの部門の回復は、定期船事業のそれとは本質的に異なります。売り上げ1000億円程度で収支が均衡するという従前の状況から脱却すべく、日本貨物航空(株)(NCA)は燃費効率の高い機材への全面入れ替えや、乗員・メンテナンス要員の自社養成など、抜本的な構造改革を2005年に着手し、08年に完了させました。その結果、収支均衡売り上げが800億円程度になるまで体質改善が進みました。 

 ところがリーマン・ショックの直撃で、09年度の売り上げは630億円まで激減し、大幅な赤字計上を強いられてしまいました。幸い10年に入り荷動きの回復基調が定着し、最新の予測では当上期売上が455億円、経常利益が33億円となっています。いまだ予断を許す状況にはありませんが、NCAの皆さんが一丸となった血のにじむようなコスト削減努力が必ずや報われ、通期目標の売り上げ900億円、経常利益60億円の達成は十分に可能だと確信しています。

 ところで、一般貨物輸送は人口・GDP(国内総生産)の増加に応じ拡大するので、今後その大半がアジア地域に集中すると思われます。事実その傾向は最近顕著になっていますが、アジア域内の場合、限られた輸送範囲のためビジネスチャンスの拡大余地は海上部門では限定され、拡大が大いに期待できるのはフォワーディング事業部門の領域になると思われます。この点からも、アセット型とライトアセット型事業との両輪戦略の重要性を再認識する必要があります。

 一方、アセット型であろうとライトアセット型であろうと、お客さまの使い勝手と業務の効率化は常に最重要課題です。その観点から10月1日に郵船航空サービス(株)とNYKロジスティックスジャパン(株)を統合、郵船ロジスティクス(株)と改名しました。また来る11月1日には、東京船舶(株)とNYK Line Japan(株)とを統合、NYK Container Line(株)として新たにスタートを致します。この統合の成果を遺憾なく発揮できるか否かは、関係者の皆さんの誠意・創意・熱意次第です。

 さて内需に勢いがあった中国、インドなど新興国のおかげでリーマン・ショック後、いち早く回復軌道に復帰した不定期専用船事業ですが、荷動きは決して弱含みではないものの、船腹供給圧力の影響でここに来て市況が一進一退の状況にあります。既に日本の6倍に当たる6億トン強の鉄鉱石を輸入する中国が、今後とも鉄鉱石のみならず、石炭、原油、穀物などの輸入をさらに拡大することは確実であり、この状況は品目の違いはあるものの、インド、その他の東南アジア諸国連合の国々も同様です。また自動車生産・販売台数の顕著な増加もこれら地域に集中しています。急拡大する市場が近隣諸国に現出したことは当社の不定期専用船事業にとり、間違いなく千載一遇のチャンスといえます。既に中国の鉄鋼メーカー、インドTATAグループなどとの輸送契約は、着実に増加しつつありますが、船舶供給圧力が増す中、今後いかにこの事業の輸送量をさらに確保・拡大するのか。われわれの挑戦は続きます。

 「宜候プロジェクト」はいよいよ、その最も重要な最終ステージを迎えようとしています。一般貨物事業部門ならびに、不定期専用船事業部門おのおので「どこで、何を、いつまでに、いかに、事業拡大するか」という骨太の成長戦略を構築せねばなりません。それと同時に一般貨物事業部門では、定期船事業を持続可能な事業モデルに変身させるために、アセット型とライトアセット型とが調和した両輪戦略が不可欠ということは関係者間で共有されていますが、より具体的な戦略構築が急がれます。

 営業部門の状況・課題は以上のとおりですが、コーポレート部門、技術部門も多くの課題を抱えています。経済環境、事業環境しだいで当社のあるべきバランスシートは常に変化していくため、機敏に対応できる柔軟性が求められます。営業部門の戦略遂行を支えるため、将来あるべき姿を見据えながら当社グループの経営資源の最適配分をグローバルな観点と全体最適はどうあるべきかの視点で常に考え、持続的成長が可能な足腰の強い会社にしていきましょう。

 二酸化炭素(CO2)、窒素酸化物(NOX)、硫黄酸化物(SOX)排出対応など、環境に優しい経営活動は、燃料価格の高騰が常態化した今、コスト削減と同意語です。差別化の領域が狭かったハード面ですが、今やこの領域における技術力の差が当社グループの競争力を左右します。当社グループは、世界初となる太陽光エネルギー発電システムを搭載した船や空気潤滑システム搭載のモジュール船を就航させました。さらに当社には地球深部探査船「ちきゅう」を通じて蓄積した多くの貴重な運航技術があり、海洋事業分野での活用が期待されます。このほかグループ内に既に存在する技術や経験を他分野に活かせる機会はまだまだあると思いますので、そうした技術の事業化に今後も積極的に取り組んでいきましょう。 皆さんの創意・工夫に期待しています。

 また安全は物流事業にとって最優先課題ですが、メキシコ湾の事故からも明らかなとおり、安全な作業能力あるいは安全な航行能力がいよいよ持続的成長を左右するコアコンピタンス(競争力となる能力)となりました。この領域はすべて人間力の領域であり、人材育成にさらに力を注ぐ必要があります。

 本日、第6四半世紀がスタートしました。対処すべき課題はたくさんありますが、NYKグループのDNAであるNYKグループバリュー「誠意・創意・熱意」(Integrity、Innovation、Intensity: 3I’s)があれば、克服が可能です。そして世界経済発展のための動脈という使命を果たしていきましょう。

 最後に、皆さんとご家族のますますのご健康、ご多幸を祈念致して私のあいさつといたします。

 
以上
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その後、予告なしに変更される場合がございますので、あらかじめご了承ください。